グローバリゼーションはカレー味 - (page 2)

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2011-08-30 08:00

 現実には、やはり押し付け的なグローバリゼーションは存在して、他の地域を同質化させる圧力というものはある。これはファストフードのような均質的食文化から、会計基準のようなビジネスのやり方に関するものまで様々である。

 一方で、そのグローバリゼーションが新しい発想を刺激し、邂逅する相互の文化や経済を活性化させることがある。同質化には新しい変化の兆しを読み取ることが難しいが、どうせ進展していくのであれば、グローバリゼーションが個々の文化や経済を活性化させるモデルを追求するべきだと思う。

 そして、それを象徴するのがカレーのグローバリゼーションモデルなのである。簡単でバリエーションが豊富、故にローカル化が簡単。その融合の過程で、様々な創意工夫が生まれて、その地域固有の文化に取り込まれてゆくのである。先進諸国の経済が停滞感を示す中、グローバル展開を目指すビジネスは多いが、是非カレーのグローバリゼーションモデルを一考してもらいたい。

このアートイベントは注目かもしれない

 ところで、そんなグローバリゼーションを一つのテーマとした個展が開催される。国と国を隔てる国境というものの消失、さらにはソーシャルネットワークで繋がっていく個人というものの領域や定義が曖昧になっていく状況、これを無為にやり過ごせば国、社会あるいは個人のアイデンティティの崩壊に繋がることとなる(といっても、自分の個展です。すみません)。

 そこで今年の個展では、「melting borders」と題して「境界線」にこだわった作品群を展示します。アート活動と仕事は別物かなとも思っていましたが、どうやら仕事上感じる問題意識が作品に思いっきり反映している感が強くなってきたので、より明示的に展覧会のタイトルに組み込みました。お時間ある方は是非お越し下さい。どなたでも大歓迎です。詳細はこちら

飯田哲夫個展
melting borders
2011年9月6~11日11~20時(最終日:18時)
レセプションパーティー:9月10日18時~
The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT5
〒160-0015 新宿区大京町12-9 Tel:03-3341-3253

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飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

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