Chatterを核にソーシャル化するセールスフォース新機能群 - (page 2)

別井貴志 (編集部)

2011-09-04 08:47

 そして、クラウド型の営業支援・顧客管理CRM「Sales Cloud」にも、2011年10月予定で150以上の新機能が搭載される。TwitterやFacebookなどのソーシャルコンタクトデータを参照できる「Social Contact」、Chatterを活用してチームで販促や顧客管理などができる「Social Sales」、チームで目標管理できる新しいユーザーザーインターフェース「Collaborative Forecasts」などだ。

 また、2010年に買収したビジネスコンタクトデータ(見込み客の電話番号や電子メールアドレスなどの情報)サービス「Jigsaw」のサービスは「data.com」に改名した。Dun & Bradstreetなどデータプロバイダが提供する顧客情報を取り込んで活用できる。

  • Sales Cloudもソーシャル化。

  • Jigsawは「data.com」に。

 さらに、モバイル端末などのハードウェアやソフトウェアが一段と進化していく中で、HTML5についてBenioff氏は「革新的な技術でアプリケーションをネイティブに端末で動かすだけではなく、サービスとして利用できる。AmazonのKindleクラウドリーダーなどはその一例だ」と述べた。HTML5をサポートし、Salesforceのプラットフォームに組み込むことで、より洗練されたネイティブな環境を提供していくかまえだ。そして、それを実現するのが2012年の早期に提供する予定の「touch.salesforce.com」だ。SalesforceのアプリケーションをHTML5を使ってネイティブに端末で動かせるようになるほか、すでに構築しているアプリケーション、カスタムページレイアウトやオブジェクト、タブなどを新しいプラットフォームに載せられるという。

  • 初披露の「touch.salesforce.com」。

  • touch.salesforce.comを使うとすべての端末でアプリケーションが動くようになる。

 もう1つ、クラウド型カスタマー(顧客)サービス支援CRM「Service Cloud」の拡張も説明された。その鍵となるのが「Chatter Service」で、2012の早期に提供が予定されており、その際に価格なども明かされる。Chatter Serviceと併せてService Cloudを使うと、顧客の問題をこれまでの電話や電子メール、ウェブサイトのほか、ソーシャルネットワークを通じてリアルタイムに解決できるようになる。

  • Service Cloudは1万6000以上の企業で利用されている。

  • 「Chatter Service」を使えばソーシャルネットワークを通じて顧客の問題を解決できる。2012年早期の提供予定。

 顧客に問題が起きたり、問い合わせが来たりした際に、その内容を顧客担当者はSalesforceに入力する。すると、システムが自動的に解決例や関連した問題などを提案してくるので、それを参考にすることが可能。そして、解決策はその内容や顧客に合わせて、リアルタイムに対話する形で提示、最終的に解決していくことができるのだ。こうしたやりとりには電話や電子メール、Twitter、Facebook、YouTubeなどが活用できる。ナレッジはどんどんたまっていくので、顧客担当者が技術部や営業担当者など直接の担当者でなくても答えられるケースもあるだろう。

  • 「Social Conversation」タブ。TwitterやFacebook、YouTube、ブログなどで顧客から問い合わせが来るが、それをリスト化している。

  • Caseタブ。問題はCaseとして扱われ、具体的な問い合わせ内容はCase Detailとして下部に表示されている。上部には顧客担当者が入力するフォームがある。

  • 問い合わせをしてきた顧客の情報。解決策はArticleとされる。ここで、返信するか決める。

 最後に、企業のエンタープライズソーシャル化の第三段階は、顧客もしくは製品のソーシャルネットワーク構築だ。ここでは、「ソーシャルマーケティング」という言葉が強調され、まずHerokuが紹介された。Herokuは、2011年1月に買収したスクリプト言語Rubyによるウェブアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」のクラウドプラットフォームだ。買収後もブランドやサービスは継続している。HerokuについてBenioff氏は「Rubyだけではなく、いまではJavaでもHerokuを利用できます。Salesforceのプラットフォーム(全体で)は、伝統的にAPEXを使ってきたが、いまではRubyでもJavaでも使えるようになった」として、観客に拍手を求めた。

 そして、ディズニーのFacebookを例に挙げ、Benioff氏は「ゲームや写真の共有アプリなどがあり、このようにHerokuの上でマーケティングアプリケーションが開発され動いています。こうしたソーシャルマーケティングこそが重要な要素」と述べた、

 さらに、2011年3月に買収したRadian6も紹介された。同社はソーシャルネットワークのやりとりをトラッキングして分析する技術を提供している。Benioff氏は「1日に2億以上のツイートがあり、50億以上のFacebookの投稿があって、顧客がどんなことを言っているのか、会場のみなさんは本当に耳を傾けていますか? HerokuとRadian6という新しい企業を吸収して、我々もマーケットクラウドを構築しようとしている」と意気込んだ。

  • 買収したHerokuがJavaに対応。600万人のJava開発者がこのプラットフォームで作業できるようになった。

  • 買収したRadian6はソーシャルモニタリング。

  • Salesforceの新しいアーキテクチャ。

 こうした顧客とのコミュニケーションに加えて、製品のソーシャルネットワークも加味した取り組みとして、TOYOTA friendが説明された。Benioff氏は「車が友達になるということはアイデアの大きな転換で、トヨタ自動車がソーシャルエンタープライズになるということ」とし、「すべての製品の友達をどうやって作るかということに取り組んでいる」と続け、そのためには、Salesforce自身のビジョンもどんどん変えていくという。

  • TOYOTA friendは顧客と車、販売店、製造者をソーシャルネットワーク化した取り組み。

  • TOYOTA friendのPC画面。車やバッテリー、ガソリンの状況などが表示されている。販売店のChatterも表示されている。

  • iPhoneからWi-Fiで車をロックするなど、操作が可能。

◇Dreamforce 2011
セールスフォースのイベント開催でGoogle会長や原口議員も登場--4万人参加のトリビア
新時代のソーシャルエンタープライズ革命は3ステップ--Dreamforceベニオフ氏

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