クラウドOSの特徴とKVM:KVM徹底解説 第3回 - (page 2)

山﨑靖之 (サイオステクノロジー株式会社)

2011-09-07 15:16

3. クラウドOSが提供する機能

 クラウドコンピューティングを環境全体でみると、仮想化技術は要素技術でしかありません。図1で示したように、他にも必要な機能は多くあります。これを補完するための技術がクラウドOSです。

 クラウドOSに必要な機能は明確に定義されていないと思われますが、1つの指針としては、図1で示した概念を実現するためのソフトウェアをクラウドOSと呼んでいるのが現状ではないでしょうか。

 クラウドOSが提供する機能を下記に整理しました。

  • クラウド環境全体の管理機能
    クラウドコンピューティングの全ノードの稼働状態を管理、制御する機能。クラウドOSの中核ともいえる。
  • 監視機能
    障害監視やリソースの利用状況を監視する機能。
  • 自動拡張機能
    監視機能と連動し、必要に応じて新たなアプリケーション実行環境を拡張、収縮する機能。
  • 仮想イメージ管理機能
    仮想イメージの追加や更新など、仮想イメージ自体を管理する機能。
  • フェデレーション機能
    他のクラウド環境との連携を実現する機能。
  • ストレージ管理機能
    分散ファイルシステムの管理機能。
  • 認証機能
    利用者のアカウント認証を提供する機能。自身が持つ独自の認証機能、あるいは異なるシステムが保有するActive DirectoryやLDAPとの連携機能を提供する場合もある。
  • ユーザー管理、アクセス制御機能
    利用者ごとにクラウド環境が提供するオブジェクトや機能へのアクセス制御を提供する。
  • ネットワーク管理機能
    仮想マシン間のファイアーウォール機能を提供する

4. Nimbulaが提供する機能の具体例

 実際のクラウドOSは、どのような機能で構成されているのでしょうか。次の画像は、米Nimbulaが開発しているIaas基盤ソフトウェア「Nimbula Director」の構成機能です。

図2「Nimbula Director」の機能構成
図2「Nimbula Director」の機能構成

 クラウドコンピューティングを実現するための中核となる要素技術が仮想化であり、Nimbula DirectorではKVMが採用されています。今後は、他の仮想化ソフトウェアをサポートする予定のようですが、最初にKVMを採用したあたりが、KVMへの注目度をあらわしているように思えます。

 また、クラウドOSはクラウドコンピューティングを実現し、円滑に管理、運用するための機能を多数提供するソフトウェアです。今後は更なる進化を遂げるとみられ、暫くは目が離せない状況にあります。

山﨑靖之

サイオステクノロジー株式会社 執行役員 セールスコンサルティング担当

セールスコンサルティングを担当するかたわら、「The Open Group」の認定する「TOGAF8 Certified Individual」認証アーキテクトとしても活動している。

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