アイ・ティ・アール(ITR)は9月6日、国内ファイル転送ソフトウェア製品市場の市場規模と動向調査の結果を発表した。ファイル転送ソフトウェアは、手軽に大容量かつセキュアな環境でデータを送れるとして、これまでのメール添付や宅配便などの代替手段として、市場は拡大傾向にあるという。
国内ファイル転送市場の2010年度の出荷金額は58億円で前年比10.7%増と拡大。2011年度も同12.8%増と引き続き伸びると予測している。ベンダーシェアでは、老舗のセゾン情報システムズが約40%の高いシェアを維持した。その後をSaaS型製品を提供するNRIセキュアテクノロジーズが追い、シェアを拡大しつつある。
提供形態別に見ると、2010年度もパッケージの出荷金額が62.1%となり、依然として過半数を占めている。しかし、SaaS型は前年比19.6%増の好調な成長を示しており、2011年度も同24.5%増とさらに拡大するとみている。
シニア・アナリストである甲元宏明氏は、「昨今、非定型ファイルを社外企業とセキュアに交換するソリューションを求めるニーズが企業規模や業種を問わず高まっている。この課題に向けて、Managed File Transfer(MFT)と呼ばれる製品やサービスを提供するベンダーが国内でも増えつつあり、今後、企業でのファイル転送ツールは、MFTという形態で進化していくことになるだろう」とコメントしている。