Jobs氏が打ち出した流通施策は、その後、取引会社の追加などはあったものの、10年以上に渡ってAppleの標準的な仕組みとして定着。大きな変更を加えることなく、業界における成功モデルとして成り立っている。
そして、その強引ともいえる手法は、その後のiPodやiPhoneの流通戦略にも生かされており、流通主導の仕組みが世界的に定着するなかで、唯一メーカー主導で動くビジネスモデルとなっている。
その背景には、Jobs氏が作り上げた魅力的な製品、それによって構築された強いブランドの存在が見逃せない。多くのユーザーが魅力的に感じる製品を提供し続けるという継続性も、Appleならではの流通戦略を推進できた理由のひとつだといえる。
この施策を展開しはじめた当初、「売り上げが伸びなければ、Appleは数多くのパートナーを失うだけ」とも指摘された。確かに、多くの販売店から反発を買うような「大手術」が失敗していたら、世界中の販売会社から総スカンを食い、いまのAppleの再生はなかっただろう。しかし、iMacという魅力的な製品の投入とともに、Apple製品に適した流通網の構築という大手術に、Jobs氏は賭けたともいえる。
魅力的な製品づくりとともに、大胆な流通戦略も同時に推進することで、無駄のない販売網を構築。Appleの魅力をわかりやすく、多くのユーザーに伝えることができる仕組みを構築したことは、Jobs氏にとって隠れた大きな功績だったといっていいだろう。
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