導入の障害となる要因
タブレット端末の導入を後押しする要因はあるものの、タブレット端末がPCの代わりになるまでには、デバイスメーカーが乗り越える必要のある障害がいくつかある。わたしは、次の4点を挙げた。
- 価格
- 限られた周辺機器のサポート
- 標準の欠如
- 互換性のないソフトウェアエコシステム
HPやRIMのようなタブレットメーカーは、価格は重要であることを学んだ。企業で利用される廉価なデスクトップの価格は約500ドルであり、これは多くの10インチタブレット端末と同じ価格だ。AppleのiPadは例外だが、最終消費者とITプロフェッショナルは、タブレット端末に平均的なPCと同じ額を払うことに納得していない。その理由は、まだタブレット端末がPCと同じくらい「強力」であるとは信じてられていないからだ。そして正直なところ、その考えは正しい。しかし前述の通り、状況は変わりつつある。
周辺機器の一般的なサポート(キーボード、マウス、プリンタ)が欠如していることも、企業のタブレット端末導入の障害となっている。確かに、多くのタブレットは、これらのデバイスの一部をサポートしている。しかし、タブレット端末の周辺機器の標準化レベルは、PC市場と同じ水準にあるとは言えない。同様に、現在出回っているタブレット端末は、ポートやコネクタに関しては標準がない。
最後に、タブレット端末のソフトウェアエコシステムには大きな違いがある。AppleのApp Storeはもっとも古く、もっとも充実している。Androidマーケットは急速に成長している。そして、MicrosoftはWindows 8に「Windows Store」を統合して販売する予定だ。この壁は乗り越えられないものではないが(MacはそのままではWindowsのソフトウェアを実行できない)、このソフトウェアのエコシステムの分割は、開発者がソフトウェアを制作するプラットフォームを選ぶ必要があることから、アプリケーションの制作を制約するかもしれない。ただしHTML5は、この壁を乗り越えるための方法の1つになり得る。
「箱」が何であるかはあまり関係がない
究極的には、多くのユーザーは自分のコンピュータデバイスがどんな形をしていようと、あまり気にしない。確かに、一部のユーザーは他のユーザーよりもスタイルを意識しているが、大半は単に自分の仕事(と生活)が楽になりさえすればいいのだ。わたしの考えでは、5年以内に、多くのオフィスの仕事場は、ドッキングステーション、キーボード、マウスまたはトラックパッド、大きなモニターで構成されるようになる。コンテンツを作る時には、依然としてキーボード、マウス、モニターを使うだろうが、実際にはそれをタブレット端末上(あるいはスマートフォンかもしれない)で行うようになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。