IDC Japanは10月17日、国内データセンターアウトソーシング市場の最新予測を発表した。2011年には前年比6.8%増の1兆221億円へと伸長し、ついに1兆円規模の市場になると予測している。
同社によると、2010年まではリーマンショック以降の景気低迷の影響を受け、市場成長率が低下傾向にあったが、2011年には東日本大震災と電力供給不足を経験。多くのIT企業が災害対策強化に乗り出し、データセンターアウトソーシングが再評価されつつあるという。こうした情勢を受け、IDCでは2012年に国内同市場の前年比成長率が12.4%に上昇すると予測している。
なお、今回の調査によって、クラウドサービスの利用拡大が国内データセンターアウトソーシング市場の動向に大きな影響を与えることもわかったという。データセンターアウトソーシングには、サーバ設置場所を貸し出す「コロケーション」と、データセンター事業者が所有するサーバを顧客に提供する「ホスティング」という2種類のサービスがあるが、IDCではクラウドサービスをホスティングに分類。サービスの導入が容易で、利用コストの安価なクラウドサービスが普及することによって、コロケーションからホスティングへスイッチする企業が今後増加すると分析している。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「大震災後の災害対策需要やクラウドサービス需要の掘り起こし戦略を策定/実施することが、データセンターアウトソーシング事業者の重要課題であり、そのためには複数拠点のデータセンター間のシステム連携や、パートナー戦略の展開が重要となる」とコメント。今後、景気回復やソーシャルアプリケーションプロバイダーなどのインターネット企業によるホスティング利用の拡大を背景として、市場成長率が上昇に転じると予測している。