IDC Japanは10月20日、国内クライアント仮想化市場の部門別動向に関するユーザー調査結果を発表した。導入事例から、大規模化、基幹業務の実装、複合化、DaaS(Desktop as a Service)の浸透といったトレンドが読み取れるという。
2011年のクライアント仮想化導入率は、本格導入実績が6.7%、試験導入実績が4.0%、導入予定が3.0%、導入検討中が9.0%だった。一方、検討しないとするユーザー企業は約7割を超えている。
クライアント仮想化の導入目的は、「運用管理の効率化」「セキュリティ対策」「システム可用性の向上」が上位3項目(回答率順)、続いて「TCO削減/ROI向上」「内部統制」の割合が高くなっている。
部門別の導入目的では、営業部門/マーケティング部門は「ビジネス環境の変化に対するアジリティ(俊敏性)強化」「ビジネスモビリティ」の割合が高く、物流部門は「事業継続性/災害対策」の割合がそれぞれ高い。製造部門は「運用管理の効率化」の割合が特に高く、各部門の利用特性に沿った目的で導入していることがわかる。
また、クライアント仮想化製品の全社導入の割合は高まっており、少なくとも2つ以上のソフトウェアカテゴリに該当する製品を導入。特に今回の調査では、部門別の導入傾向が顕在化したとしている。営業部門とマーケティング部門は「プレゼンテーション仮想化」、研究/開発部門は「サーバホスト型デスクトップ仮想化」「クライアントホスト型デスクトップ仮想化」の割合が、他部門と比較してそれぞれ高い。
IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「ここ数年のクライアント仮想化導入事例は、導入の大規模化、基幹業務の仮想化基盤への実装、仮想化環境の複合化、中小企業および自治体におけるDaaSビジネスの浸透などが特徴としてあげられる。さらに部門別の導入傾向やビジネス機会が明らかになった。進化する仮想化技術をこの機会に生かすことによって、市場のさらなる拡大が見込める」とコメントしている。