ノークリサーチは10月28日、中堅中小企業の統合基幹業務システム(ERP)カスタマイズが抱える課題とその解決策について調査し、分析結果を発表した。年商500億円未満の中堅中小企業1400社を対象にしている。
調査では、価格や機能、自社要件適合性の点でERPパッケージよりスクラッチ開発の評価が高いことが明らかになっている。スクラッチでの独自開発は、自社の要件にあわせて機能を作りこめる。そのため、パッケージと比べると機能の充足度や自社要件適合性の評価は高くなりやすい。価格面ではパッケージの方が優位になるはずとしている。
だが実際の調査では、価格面の評価でもスクラッチでの独自開発がパッケージを若干上回っていることが明らかになっている(図1)。これはパッケージのカスタマイズが大きく関係しているためだ。中堅中小企業でもERPパッケージで要件を満たすことは難しく、カスタマイズするケースが少なくないという。
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その結果として、パッケージ本体がバージョンアップする度にカスタマイズ部分を再度適用する必要が生じる。こうしたERPパッケージのカスタマイズに伴う課題を解決するため、最近は各ベンダーに取り組みが進んでいると説明している。
ERPパッケージのカスタマイズでは、ERP本体部分にプログラムを伴う開発作業を行う方法、パッケージ本体のプログラムは極力変更せず、独自作成したモジュールを追加する方法、業種別などで提供されている、プログラム開発を伴わない設定項目を集めたテンプレートを自社向けに修正する方法など、さまざまな選択肢がある。
価格の妥当性に対する評価をカスタマイズ手段別に見ると、「ユーザー自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」が高い評価を受けているという(図2)。
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機能が足りているかどうかをカスタマイズ手段別に見ると、「ユーザー自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「カスタマイズ部分と本体のオブジェクト階層を分ける方法」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」の評価は高いが、「ERP本体部分にプログラムを伴う開発作業を直接行う方法」も同程度の評価を得ているという(図3)。自社の要件に合致しているかどうかをカスタマイズ手段別に見ると、「ユーザー自身がグラフィカルに画面や項目を追加/作成できる仕組み」「独自のテンプレートを自社向けに個別作成する方法」の評価は高いが、「ERP本体部分にプログラムを伴う開発作業を直接行う方法」も同じように評価されているとしている(図4)。
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