北海道大学が運営する北海道大学情報基盤センターは、学術クラウドシステム「北海道大学アカデミッククラウド」を構築し、11月1日にサービスの提供を開始する。4月から構築を開始した国内最大規模の学術クラウドで、学内外の研究者にPaaSおよびIaaSを提供する。また、170テラフロップス超の演算性能をもつスーパーコンピュータシステムの外部提供も開始する。クラウド基盤などを提供した日立製作所が10月31日に発表した。
北海道大学アカデミッククラウドが提供するサービスは、「ホスティングサーバ」と「プロジェクトサーバ」の2種類。ホスティングサーバは、OSやミドルウェア、さらにはブログやWikiなどの各種アプリケーションを利用できるホスティング環境。プロジェクトサーバは、研究者の利用用途に応じて、OSやミドルウェアなどを自由にカスタマイズして利用できるサービスで、クラスタシステムの構築も可能だとしている。
北海道大学アカデミッククラウドは、日立の「Harmonious Cloud」のプライベートクラウドソリューションを活用して構築した。ブレードサーバのハイエンドモデル「BladeSymphony BS2000」114台を演算ノードに利用し、40テラフロップス超の総合理論演算性能を実現。仮想化技術を活用することで、約2000サーバを起動できる性能があるという。また、仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」や、ミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ」をストレージシステムに採用、760テラバイトの実効総容量を備えた。
また、基盤ソフトウェアとしてシトリックス・システムズ・ジャパンのサーバ仮想化ソフトウェア「Citrix XenServer」と、クラウド環境を管理するためのミドルウェア「CloudStack」を採用。ポータルサイトを通じたサービス環境の申請、管理、運用を実現した。
北海道大学アカデミッククラウドは、同大の学際大規模計算機システムの一部として運用される。全国共同利用施設として、全国の大学研究者の学術用途にオンデマンドで利用できる仮想サーバや、複数の計算機をまとめたクラスタパッケージによるMPI環境、Hadoopなどの分散処理環境、さらにオンラインストレージやブログなどの利用環境をIaaSおよびPaaS形式で提供する。
あわせてサービス提供を開始するスーパーコンピュータシステムには、POWER7プロセッサ搭載の日立製「SR16000 モデルM1」を採用。従来のバッチ処理は約30ノードでの処理だったが、新システムでは170ノードとなる(論理ノード換算)。総合演算性能は旧システムの約30倍となる172テラフロップス。OSには、現ユーザーのプログラミング資産継承のため、AIXを継続採用した。最大128ノードを使用した並列ジョブの実行が可能で、AIX環境では国内最大規模だという。
北大情報基盤センターでは構築を始めた4月以降、ウェブサイトを通じてシステム更新や新サービスの提供内容、事前説明会を告知していた。利用申請は、情報基盤センターのポータルページから。