Android用アプリのデザインは、場合によっては非常に難しい。デバイスによってさまざまな画面サイズや解像度があり得るため、レイアウトは動的に変わるように設計しなくてはならず、画像リソースは正しいサイズに変わらなくてははならない。わたしがAndroidアプリの設計を始めた頃、習得するのがもっとも難しかった分野の1つがUIだった。生まれつきグラフィックデザイナーとしての才能を持っていないわたしは、幸運にも何人かの才能あるデザイナーと働く機会を得て、アプリのスタイルを素早く設定し、出回っている画面構成の大半をターゲットとする方法を理解することができた。
まず、多様な画面サイズとピクセル密度向けに開発を行うために、開発者がAndroidでできることを理解する必要がある。市場に急増しているAndroidタブレットのおかげで、この問題はかなり難しくなっている。この記事では、問題を簡単にするために、スマートフォンのフォームファクター向けに開発を行う際の、わたしの経験だけを紹介することにしたい。
多くのスマートフォンは、ldpi(低解像度)、mdpi(中解像度)、hdpi(高解像度)のいずれかのカテゴリーに分類される。Eclipseで新しくAndroidアプリケーションを作ったことがある人なら、新しいプロジェクトの「res」ディレクトリに、デフォルトで「drawable-hdpi」、「drawable-mdpi」、「drawable-ldpi」というフォルダが作成されているのに気づいているのではないだろうか。わたしが最後に調べた時には、低解像度のデバイスは、市場に出回っているデバイスの3~5%を占めるに過ぎなかった。このためわたしは、自分の開発では中解像度および高解像度デバイスだけをターゲットにすることに決めた。
カンプおよび画面リソースのデザイン
わたしの第1のアドバイスは、デザイナーにアプリケーションのすべてのカンプを320×480と480×800の2つのサイズで作ってもらうことだ。前者がmdpiデバイス用で、後者がhdpiデバイス用になる。
その後、カンプを個々の画像リソースに切り分けた際には、必ずhdpiリソースを「drawable-hdpi」フォルダに、mdpiリソースを「drawable-hdpi」フォルダに置いておくようにすること。
また、デザイナーにすべてのものの高さと幅をマークアップしてもらうこと。これをmdpiカンプのXMLレイアウトに変換する必要がある。Androidはレイアウトのスタイル決めに使用される「dip」(density independent pixel)という単位を持っており、すべてのdipの値はmdpiが基本になっている。このため、320×480のレイアウトをベースにdipを決めるとよい。
XMLレイアウトのデザイン・スタイル設定
レイアウトは、さまざまな画面サイズに適切に合わせられるようにデザインされなくてはならない。ウェブ開発の経験があれば、おそらく概念レベルではやや分かりやすいはずだ。しかし、もし動的に変わるUIのレイアウトをデザインするのが初めてであれば、一番苦労するのはこの点かも知れない。この点は、ピクセルが完全に決まっているiOSのレイアウトとはかなり異なる。
わたしがデザイナーのカンプを実際のレイアウトに変換しようとする時に最初にやることは、異なるUI要素を視覚化し、全体としてそれをどう組み合わせるかを考えることだ。これを行うには、Androidで使える選択肢にどのようなものがあるかをしっかり把握している必要がある。
わたしがよく使うのはLinearLayoutとRelativeLayoutで、たまにTableLayoutも使っている。しかし、TableLayoutよりはListViewをよく使う。これは、動的にデータをバインドし、一般的なonClickハンドラを各行に割り当てるのがより簡単だからだ。またRelativeLayoutは、UI要素を他の要素との相対的な関係で特定の位置に置こうとしているときには、おそろしく便利だ。
高さと幅を動的に割り当てる
Androidでは、UI要素に高さと幅を直接コーディングする代わりに使用できるキーワードがいくつかある。
- fill_parent
- match_parent(APIレベル8以降ではfill_parentではなくmatch_parentを使用する)
- wrap_content
はじめの2つの機能はほぼ名前通り(訳注:親要素のサイズまでなるべく大きくする)であり、最後の1つはUI要素の大きさが変わった際に必要なだけの空間を使用するというものだ。これは、前述の画像リソースの開発の話と結びつきがある。わたしの助言に従っていた場合、レイアウトを作成してImageViewを定義すれば、各画像の高さと幅の両方に「wrap_content」を指定することができ、これで大きさを指定しなくても、UI要素はmdpiデバイスでもhdpiデバイスでも正しく表示されるはずだ。