アプリ配信の最適化に向けてCDNとも連携
最後の“PC”である「Public Cloud」は、主に商用のXaaSを提供する事業者と、そのサービスを導入する企業に関係するエリアだ。ここでは「Citrix CloudBridge」「NetScaler CloudConnectors」「CloudPortal」といった新たな取り組みが発表された。
CloudBridgeは、企業がパブリッククラウド上で提供されているAmazon Web Servicesなどのサービスを利用したい場合に、その導入をより容易に行うためのフロントエンドとなる。前出のCloudGatewayが「企業と従業員」間に存在する業務アプリのカタログとして見えるのに対し、CloudBridgeは「企業とXaaS事業者」間をつなぐサービスカタログという実体をとる。シトリックスでは「Citrix CloudBridge ready」認証プログラムを立ち上げ、より多くのクラウドサービス事業者のサービスについてCloudBridgeからの導入を可能にしていく計画だ。
まもなく(11月中)提供が開始される予定のNetScaler CloudConnectorsは、コンテンツ配信事業者(CDN)とシトリックスとのアライアンスにより、NetScalerを利用している企業が、遠隔地への動的なアプリケーションの配信をさらに高速化できるようにするもの。対応する最初のCDN事業者としては米Contendoの名が挙げられた。NetScaler導入企業は、CloudConnectorsのサービスを提供するCDN事業者と契約を行うことで、より最適化された形での遠隔地へのアプリケーションを配信を実現できるようになる。
Cloud.comの買収によって獲得したオープンソースベースのクラウド基盤構築ソフトウェア「Citrix CloudStack」については、新版となるCloudStack 3を第4四半期中にリリースする予定という。VMware ESXやMicrosoft Hyper-V、KVM、Oracle VMといった他社製ハイパーバイザへの対応を確保しつつ、新盤では特にXenServerとの統合強化を進めるという。
あわせて発表された「CloudPortal」は、CloudStackとの組み合わせにより、サービスプロバイダーがクラウドサービスのインフラを構築しつつ、容易にビジネス展開を行えるようにすることをサポートする製品だという。
IaaSでは、ユーザーが自分で必要なCPU、メモリ、HDD容量などを選択し、それによって価格が決まるセルフサービススタイルでの導入が一般的だが、CloudPortalは、こうしたセルフサービスでの価格の設定、パッケージの設定、課金システムとの連携といったビジネス管理の機能を、サービス管理の機能に合わせて提供するものになる。CloudPortalのビジネス管理機能は既に提供されており、サービス管理機能は12月中旬の提供が予定されている。
そのほか、基調講演ではマルチタッチ操作やMetroアプリケーションのリモート操作に対応したWindows 8の「Metro対応Citrix Receiver」や、Facebookアプリケーションとして動作する「Receiver for Facebook」といった技術デモも行われた。これらはいずれも、ネットやPCの利用スタイルの変化にかかわらず、必要なアプリケーションを必要な場所で利用できる環境を作るというシトリックスの方向性を示すものだ。
Templeton氏は「人々がどんな場所でも働け、遊べる世界を作り出す。それがシトリックスの使命だ」と述べ、講演を締めくくった。