ITはすぐに改善できることが多く、参入しやすい部分でもありました。NPDIやR&Dの部分でも、戦略と実行のバランスが重要という気付きがありました。通常は同じものを比較しますが、R&Dでは異なるものを比較する必要が出てきます。そこにPPMが役立つことに気づいたのが、ValeoやSchneider Electricだったということです。
Gartnerのマジッククアドラントも、4年前は「PPM for IT」という記載だったのが、今は「PPM」のみになっています。つまり、IT向けに限らなくなっているわけです。
――日本では、プロジェクト管理にExcelを使用しているケースがまだまだあります。Excelで入力、開発しているような企業への導入のメリットはありますか?
Excelは経理や会計系に適したツールであり、その点では有効といえます。しかし全社規模のプロジェクト管理をするには厳しく、それを実現するにはPPMが必要です。Sciforma 4.0では、ユーザーがExcelに慣れていれば、それを踏襲することも可能です。そこにワークフローやメソドロジといった機能を追加できます。
――企業の戦略も含んだPPMができるということですか?
その通りです。PPMは「プロジェクト&ポートフォリオ管理」の意味ですが、これまでポートフォリオは忘れられがちでした。プロジェクト管理は実行の部分で、ポートフォリオは戦略の部分。その中間に実行可能かを判断できる能力があれば、安定した3本柱になります。それを実現するのがSciforma 4.0なのです。
――すでにPPMに近いシステムを企業が自社で開発しているケースも多いと思いますが、そういった企業へのアプローチは?
自社で構築しているケースは多いと思います。サイフォーマは、そういうお客様のところにこそ行きたいと思っています。ある程度の成熟度を持った企業や詳しい人ほどサイフォーマのメリットを理解していただきやすいと思いますし、説明しやすいと思います。私自身もR&Dなどをやっていたエンジニアですので、サイフォーマ製品の良さがよくわかります。
――実際にPPMを導入するときには、相当な量の情報を入力する必要があると思うのですが、導入支援サービスやサポートは提供しているのでしょうか?
導入についてはまず、実際には思うほど情報は多くありません。プロジェクトマネージャー、ポートフォリオマネージャー、リソースマネージャー、予算執行者など、いろいろな人が別の情報を見ているように感じますが、実際には同一のデータを見ていることが多く、トータルの情報はそれほど多くないのです。
ワークスペースには、ITならアジャイル、R&Dならフェーズゲートなど、機能別のコンフィギュレーションを提供しており、その細分化は製品の世代が進むごとに継続して強化していきたいと思っています。
サイフォーマは導入支援をはじめとするサポートのプロフェッショナルサービスを提供しています。大手SIer、サービスプロバイダーなどパートナーも多く、パートナー向けの認定プログラムもあります。日本でもパートナーを採用したいと考えています。
パートナーに提供する資材のひとつに、社内の調査用アンケートツールがあります。これを使用すると、企業内のどこに導入すれば一番早くROIが得られるかがわかるので、「どこから手を付ければいいかわからない」という悩みにも答えられます。ちなみに、名前を公表できませんが、グローバルで事業展開している日本企業が導入しています。
――グローバル展開をするにあたり、製品の研究開発を日本の本社で行う方がいいのか、海外の拠点、つまり市場に近い拠点で行う方がいいのか、迷う企業もいるかと思います。
日本企業が海外の企業を買収するケースも増えていますし、海外企業の買収そのものはグローバルでもトレンドになっています。そこでポートフォリオやプロジェクトを整理する必要があり、しかもこれらは集中管理するものとローカルで管理するものの両方があり、そのバランスが重要です。サイフォーマはローカルな判断や、それがビジネス全体でどうなっているかの可視化もできます。両立できるところがポイントと思っています。「必要なものを必要な時に」そしてそのためには「お客様の近くにいる」ことが重要だと思っています。