ハイアールCEO、ドラッカーをもとに組織改革を推進--独自の経営モデル目指す

末岡洋子

2011-11-18 14:42

 独SAPが11月15日から2日間、中国・北京で開催した「SAPPHIRE Now/TechEd in Beijing」には、地元中国を中心に1万人が来場し、急成長市場である中国におけるSAPの存在感を見せつけた。

 SAPは会期中、2015年までに2億ドルを中国市場に投資することを発表し、中国市場へのコミットを示している。共同CEOのBill McDermott氏は「SAPの将来は中国にある」と断言してみせた

 初日の基調講演では、地元中国の家電メーカー大手でSAPユーザーでもあるHaierの最高経営責任者(CEO)Zhang Ruimin氏が自社の成長戦略を披露した。Ruimin氏はここで、ピラミッド構造だった組織を完全に上下逆にするという改革の道のりを語った。

ピラミッド型の組織を逆転 前線の連携を密に

ハイアールのCEO、Zhang Ruimin氏
ハイアールのCEO、Zhang Ruimin氏

 Haierは1984年創業の家電メーカー。巨大市場に支えられ、急速に成長を遂げた中国企業の一社だ。現在世界165カ国で事業を展開しており、営業拠点は5万8000を数える。冷蔵庫や洗濯機では世界シェアトップだ。従業員は7万人、2010年の売り上げは1357億元(約1兆6400億円)。ここ数年はグローバルブランドの浸透を目指している。

 Zhang氏が変化が必要と感じた背景には、インターネットがある。インターネットが消費者や従業員を変えており「古いモデルは通用しないと感じた」とZhang氏は言う。

 Zhang氏はまず、コーポレートマネジメントを刷新するにあたって「マネジメントの父」とされるドラッカーの考えを2つ引用した。

 1つ目は自分自身が変化しなければならないこと、2つ目は成功や失敗などというものはなく、人生は連続するプロセスであるということだ。変化を受け入れる、変化に適応することが大切であり、「変化する世界に合わせて会社を変える必要があると判断した」と明かす。

  • ピラミッド型の組織を逆転させた(クリックで拡大)

 具体的な変化の前に、同社の哲学である顧客主義(「顧客を作るのは自分」「自分が加えた付加価値を共有する」)とインターネット時代のビジネス戦略の下、顧客や消費者を重視するため、前線にいる従業員をてっぺんに据えた逆三角形の組織構造を描いた。これまでのピラミッド構造をまったく逆さまにすることになる。ピラミッド構造では、顧客と直に接して得た貴重な情報が上層に伝わるのに時間がかかった。前線が上になれば、情報はすみずみに、より早く流れると考えたのだ。

 内部では、垂直と水平なつながりをフラットにし、部門ごとの壁を取り除く。これにより、戦略や計画の一貫性をさらに強化できるとした。外部では、コミュニケーションを強化して顧客の情報や意見を吸収すると、Zhang氏は目的を説明する。

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