IDC Japanは11月24日、2011~2015年の国内サーバ市場予測を発表した。2011年の市場規模は4648億円で前年から3.2%拡大する見込み。2010~2015年の年間平均成長率は2.4%減と予測している。
2011年の同市場は、富士通の「京」が貢献し、比較可能な2001年以降で初めてのプラス成長を達成する見通しという。
京は理化学研究所と富士通が共同開発したRISCサーバ。6月には6万8544ノードのCPUを搭載した京がLINPACKベンチマークで8.774PFLOPSを記録し、「TOP500」ランキングで1位を獲得している。10月には8万8128ノードに拡張したシステムで10PFLOPSを超える性能を記録している。
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2011年の同市場はx86サーバで、小幅なプラス成長を予測している。SNSを含むネットビジネスやクラウドサービスなどの情報サービス向けの出荷が好調という。2012~2015年の市場規模は、小幅な変動に収まり、2015年の市場規模は3999億円と予測している。
同社のサーバーリサーチマネージャーの都築裕之氏は「2011年は京の特需でプラス成長の見通し。しかし、京をのぞいた場合の成長率は前年比5.4%減であり、依然として縮小が続く市場である。3月の東日本大震災に加え、EUの経済危機や円高による不透明な経済環境の影響により、ユーザー企業のIT投資に対するコスト削減意識は、一層の高まりを見せている」と説明している。
その結果として「今後の国内サーバ市場では、サーバ統合やクラウド利用が勢いを増す。一方で、スマートフォン普及で、ネットビジネスでのIT投資は好調である」と見ている。その上で「急速に変化する市場構造に対して、従来型のサーバビジネスの継続では、十分な収益確保が難しくなってきている。国内のサーバ市場のプレーヤーは、自社サーバビジネスの変革の必要性に迫られている」とコメントしている。