Red Hat Enterprise Virtualization 3.0 超入門(前編)

小島啓史 (レッドハット) 2011年11月24日 14時11分

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 レッドハットは企業ユースのOS「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)を提供しています。RHELを使用すると、RHELのカーネルに組み込まれた標準の仮想化機能「KVM」(Kernel-based Virtual Machine)を利用して仮想化環境を構築できます。

 レッドハットでは標準で用意されている仮想化環境管理製品のほかに、企業データセンターなどの大規模な仮想化環境を効率に管理できる製品として、別途「Red Hat Enterprise Virtualization」(RHEV)という製品を提供しています。

 レッドハットのサポート対象となるRHEVの最新バージョンは2.2ですが、2011年11月中旬にバージョン3.0のPublic Beta版がリリースされました。RHEV 3.0は、RHEV 2.2と比較すると多くの変更点が存在します。

 本稿ではそうした変更点を踏まえつつ、RHEVとはどのような製品か、そしてどのような機能が利用できるかを解説します。

Red Hat Enterprise Virtualizationとは

 RHEVは仮想化環境を管理するための製品であると述べましたが、正確に書くと、RHEVはホスト、ゲストOSの集中型の管理コンソール「Red Hat Enterprise Virtualization Manager」(RHEV-M)と、RHEV-Mが管理するための専用のハイパーバイザ「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor」(RHEV-H)の総称です。なお、RHEV-Hの代わりにRHELを 使用することもできます。その場合は、(RHEV 3.0のベータ版では)RHEL6.1(x86_64)を使用する必要があります。

 これらの関係を示したRHEV 3.0ベータ版のアーキテクチャは図1になります。

 中央の赤い線で囲んでいるものが、RHEV-Mをインストールしているサーバです。RHEV 2.2では、RHEV-MはC#で実装されており、Microsoft Windowsで実行する必要がありましたが、RHEV 3.0ではJavaで実装されています。もう少し細かく言うと、RHEV-MはRHELで動作するJava EEのアプリケーションサーバ「JBoss Application Server」(JBoss AS)上で動作するJavaアプリケーションです。

 RHEV-Mは管理用のウェブインターフェースを提供しており、WindowsのInternet Explorer(IE)、もしくはRHELのFirefoxからアクセスできます。ウェブインターフェース上から仮想マシンの作成/削除、仮想NIC/ディスクの追加といった仮想マシンに関する管理作業が一通り可能です。ただし、GUIを使用したホストの登録、ライブマイグレーション、ホストの負荷分散のポリシー設定といったホストに関する管理作業を行うには、IEを使用する必要があります。また、RHEV-Mの認証情報には、RHEV2.2まではMicrosoft Active Directoryのみ使用できましたが、RHEV3.0からは、RHEL6.1から同梱されるRHEL IPAサーバも使用できるようになりました。RHEL IPA(Identity、Policy、Auditの頭文字を取ってIPA)サーバは、統合されたセキュリティ情報管理サーバであり、LDAPサーバとしてRed Hat Directory Server、ユーザー認証にKerberosを用いています。RHEL IPAサーバは、RHEL6.2から正式にサポートされる予定です。なお、RHEV-MはローカルデータベースとしてPostgreSQLを用いており、仮想マシン、ホスト、ネットワークなどの情報を格納しています。PostgreSQLのコマンドを実行して、データベースのバックアップ、リストアが可能です。

 図1でRHEV-Mの下にあるのが、RHEV-Mの管理対象となるホストです。ハイパーバイザとして、RHEL/RHEV-Hを利用できます。

 RHEV-Hとは、RHEVで管理するための専用のOSであり、RHELから仮想化関連の機能のみを抽出したOSです。RHEV-Hは、132MBほどの小さいOSであり、PXE、USB、CDブートによりインストーラを起動してインストールすることが可能です。セキュリティ機能として、RHEL6のSecurity-Enhanced Linux(SELinux)を搭載しており、各仮想マシンの囲い込みが可能になります。

 RHEV-HのSELinuxはデフォルトで有効になっておりますので、管理者が特に意識して設定する必要はありません。なお、RHEV-Mからこれらのホストを管理する際、VDSMというRHEVの管理エージェントを使用しています。管理対象のホストにRHELを使用する際は、yumコマンドを使用してVDSM関連のパッケージをインストールする必要があります。RHEV-Hの場合はVDSM関連のパッケージが最初から含まれていますので、インストールする必要はありません。

 管理ホストではvdsmdサービスが常駐して、クライアント(RHEV-M)からのXML-RPC通信を待機し、ウェブインターフェースからのホスト、仮想マシンの管理を可能にしています。

 また、vdsmdサービスはlibvirt APIを使用して仮想マシンの管理を行います。libvirtとは、KVMに限らず、ハイパーバイザの種類に依存せずに仮想マシンを管理するための標準APIを提供するツールキットであり、RHELが標準で採用しています。例えばRHEV-Mのウェブインターフェース上から仮想マシンの起動命令が実行されると、vdsmdサービスがRHEV-MからのXML-RPC通信により起動する仮想マシンの名前、割り当てるvCPU数、メモリなどの情報を受け取り、libvirt APIのvirDomainCreateXML(仮想マシンの作成、起動を実行)を呼び出して仮想マシンを起動します。

 ここで紹介したVDSM、libvirtは、数あるオープンソースプロジェクトの1つですので、ウェブで仕様の詳細を確認することができます。VDSMはoVirtという、KVMベースの仮想化環境の管理プラットフォームに含まれる管理エージェントです。なお、RHEV 3.0はoVirtプロジェクトの一部としてオープンソース化されています。

 前編ではRHEVの製品概要について紹介してきました。後編ではRHEVで利用できる管理機能を解説します。

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