通信サービス事業者のKVHは11月24日、コロケーション・サポートベンダーとして東京証券取引所(東証)の「東証コロケーションサービス」を2012年1月から提供することを発表した。東証コロケーションサービスは、東証の売買執行などのシステムがあるプライマリサイトに取引参加者が機器を設置するものだ。
同サービスは、日本でも普及しつつある高頻度取引(High Frequency Trading:HFT)など、東証市場との低遅延性を最重要視する投資家に適しているといわれている。東証のプライマリサイト内に機器を設置することで、東証の売買システムや相場報道システムの距離が極小化され、気配情報の取得や注文の送信に、それぞれ片道数十マイクロ秒以下に短縮できる。
KVHは、東証コロケーションサービスの利用者を対象に、東証のネットワーク接続サービス「arrownet」をはじめ国際専用サービスやサーバなどの機器の調達、設定、テスト、導入、リモート監視などのシステム稼働前から運用まで、日本語と英語できめ細かいサポートサービスを提供する。海外から東証の高速売買取引に参加する機関投資家は、システムの構築や保守に伴う作業をKVHに一括で任せられる。日本に拠点がなくても、売買のために低遅延な接続環境を容易に得ることで円滑な取引が可能になるという。
同社は、自社の光ファイバー網と日本国内の主要取引所に近接するKVH東京データセンターを基盤に、1カ所から複数の取引所への低遅延取引に最適という「KVHプロキシミティサービス」を提供している。東証コロケーションサービスのサポートベンダーになることで、プロキシミティから取引所コロケーションまで、機関投資家の取引戦略に応じたソリューションを提供することになる。