--HANAは具体的にエンタープライズをどう変えるのか
Plattner:レスポンス時間が日単位から秒単位に変わると、ほかのことも変わってくる。システムに何か質問をしても、答えを得られるのが月に一度だったのが、スマートフォンなどの端末から一日に何秒も問いかけることができる。返ってきたデータを見て、別の質問をしたいと思うユーザーは多いが、これが可能になる。これまで以上に深い洞察が得られる。
ビジネスの改革には情報が必要だが、この情報が頻繁に得られることになる。SAPはHANAで、企業が変革を遂げるのを支援している。
Sikka:先ほど述べたNongfu Springは、HANAを利用してミネラルウォーターの運送コストを計算している。それまでは24時間かかっていがのが、3秒に短縮された。これまで月に一度コストを算出していたが、出荷の都度コストを計算できるようになった。このスピードが得られれば、ビジネスが変わる。
--「Hadoop」が注目を集めているが、対応する予定はあるのか
Sikka:先に「Sybase IQ」(ビジネスインテリジェンスやデータウェアハウス用のデータベースシステム)でHadoopに対応したが、HANAでは計画していない。HadoopはHANAとはまったくアプローチが異なる技術だ。HadoopはNoSQLで非構造化データ向けに開発されており、主にインターネットのテキスト検索に使われている。
企業には構造化データと非構造化データの統合、それも妥協のないレベル(での統合)が必要で、SQLのサポートも必須だ。SQLプログラマーの人口は2500万人といわれているが、エンタープライズでのデータとアプリケーションではSQLを無視することができない。実際、三井情報はゲノム情報の解析にHadoopを検討したが、HANAを選んだと聞いている。
--HANAの今後のロードマップは
Sikka:今後、小規模企業向けの「Business One」がHANAで動くようになる。その後は、SaaSの「Business ByDesign」に対応させる。最終的にERPを含む総合スイートの「Business Suite」に対応させる。平行して、SybaseのRDB「ACE」やIQの提供も継続していく。