堅実な分野を攻める日立とNEC
日立も「ビッグデータ」に対応したクラウド・サービスとして「ビッグデータ利活用サービス」をサービス・メニューに追加する発表を行なった。データ蓄積のためのインフラクラウドから、検索のためのコンテンツクラウド、そして分析・予測を行なうインフォメーションクラウドへと戦略的にアプローチしていく方向性が示されている。ビジョンとしては富士通と同様のベクトルであるが、現段階ではまだ具体的内容は明確にはなっていないように思える。
また、日立はHadoopに対して、従来からある並列バッチ処理インフラという同カテゴリの位置づけを行なっている。実は多くの企業にとって高速バッチ処理は依然として悩みの種である。この問題に適切に対応できれば、顧客との密接な関係を強化できる可能性が高い。地味ではあるが堅実なビジネスと言える。
一方、NECは「ビッグデータ」ソリューションとしてセンサー系データの高速処理ソリューションを発表した。厳密に言えば「ビッグデータ」ソリューションというよりは「スモールデータの高速処理」のソリューションのように思えるが、同社の強みを活かした戦略と言えよう。
一般的にセンサーデータの分析などのソリューションは社会インフラ系のシステムに強い日本ベンダーの攻めどころかもしれない。
Hadoopでの先行者利益を狙うNTTデータ
国内システムインテグレーターの中でも「ビッグデータ」ムーブメントの先導的役割を担ってきた企業の一社がNTTデータである。
NTTデータは2010年の夏ごろ、まだ「ビッグデータ」がバズワード化する以前から、着実にHadoop関連のノウハウを蓄積してきた。同社が公開したHadoopの性能関連の報告書が大いに役に立ったというエンジニアは多いはずだ。
そもそも、米国企業と比べてデータ量が小さい国内企業の中でも、例外的に通信事業者だけはCDR等の巨大なデータを擁している。その意味ではNTTデータがHadoopに注目したのは理にかなっている。
また、米国のClouderaとのパートナーシップも注目に値する。ClouderaはHadoopのディストリビューションやプロフェッショナルサービスを提供している企業である。多くのオープンソースソフトウェアについて言えることだが、エンタープライズ向けのディストリビューターは分野ごとに一社に集約する傾向がある。Linuxで言えばRedHat、LuceneであればLucid Imaginationのような存在だ。HadoopについてはClouderaがそのような位置を占めるようになる可能性が高 く、NTTデータ自身が日本におけるClouderaのような存在となる可能性もあるだろう。
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