IDC Japanは12月12日、国内ネットワーク機器市場の2011年上半期の実績と予測を発表した。2011年上半期は、東日本大震災の影響もあり企業向け市場はマイナス成長となったが、通信事業者向けは移動体通信事業者向けが堅調でプラス成長になっているという。同市場はルータやイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器が含まれる。
通信事業者向けでは、NTTのNGNサービス向け投資が一巡する中で、移動体通信事業者の投資がけん引しているという。2011年上半期の通信事業者向けルータ市場は前年同期比7.6%増の404億3600万円、通信事業者向けイーサネットスイッチ市場は同12.7%増の219億4800万円となっている。
一方の企業向けは低調に推移している。2010年に見られた景気刺激策による公共、教育分野の投資減速に加えて、一般企業の景気先行き不透明感に震災が追い打ちをかけた格好になっている。2011年上半期の企業向けのルータ市場は同23.7%減の133億8600万円、イーサネットスイッチ市場は同15.6%減の502億1400万円。両方ともマイナス成長となっている。
2011年通年では、上半期の傾向が持続すると予測。通信事業者向けはルータとイーサネットスイッチの両方で、移動体通信事業者の積極的投資を中心に堅調な需要動向が続くと予測している。企業向けは両方の市場で停滞が続くとみている。

製品別に2011年通年の市場規模予測を見ると、ルータが同1.6%減の1090億9000万円、イーサネットスイッチが同8.2%減の1501億600万円との見込み。2010~2015年の年平均成長率(CAGR)はルータ市場が0.6%、イーサネットスイッチ市場が3.9%減、無線LAN機器市場が5.3%と予測している。
今後のネットワーク機器市場について同社の草野賢一氏(コミュニケーションズ シニアマーケットアナリスト)は「企業向けと通信事業者向けはともに無線、モバイル機器が成長の促進要因になっている。ベンダーは無線、モバイルへのアプローチを今後の成長戦略に中心に据える必要がある」とコメントしている。