SAP Storeでは、Appleの「App Store」のようなアプリケーションストアを目指すが、違いが1つある。売り上げシェアだ。Appleはすべての開発者に対して同一ルール(30%をAppleが徴収)を適用するが、SAPでは企業ごとに比率を変えるという。
「クラウドは今後、SAPにとって不可欠な技術になる」とWang氏は述べるが、オンプレミスとクラウドは共存すると見る。「すべてをクラウドでというのは現実的ではなく、その逆もしかり。開発やテストはクラウドに置き、コア部分はオンプレミスがよいだろう。要求レベルの高いものはクラウドでの実装に適さない」と語る。このような部分導入で、SAPの顧客は30〜40%のコスト削減を実現しているという。
クラウド化で変わるSAP
事業をクラウドへと拡大していくことで、SAP自身も変わり始めた。社内でクラウドを活用し始めたのだ。
SAPでは、すべての上級職がiPadを利用してBusiness ByDesignにアクセスしているという。この秋には、世界に120以上ある営業拠点を結ぶオフィス管理システムをクラウドベースに移行させた。「自分たちが使っていないものは顧客にも提供できない。まずわれわれが自社技術を使っている」とWang氏は述べる。
営業側でも取り組みを進めている。これまでは直販かパートナー経由の販売だったが、オンラインでのセルフサービスも加わる。また「SAPではベータ版を提供することはなかったが、いまではベータ版を使うことができる。総じて、ユーザーエクスペリエンスが変わっている」とWang氏と述べた。
開発側では、ユーザーインターフェース(UI)に注力すると説明。「SAPのUIは使いやすいとは言えなかったが」と苦笑しながら、開発にあたって使いやすさを重視していると続ける。SAPはクラウドでユーザーの裾野を広げたい考えで、UIの改善はそこでも重要となるという。