Collins氏:一概には言えません。企業の規模、ビジネスの優先順位や課題によって大きく異なるからです。
また、インターナルとエクスターナルの線引きは非常にあいまいで薄いものです。たとえば関連企業や派遣社員などをインターナルと見るか、エクスターナルと見るかはケースバイケースでしか判断できません。今後は双方を融合したソーシャルエンタープライズが重要になるケースがますます増えてくるるでしょう。
私からアドバイスするとしたら、「できるなら両方とも始めたほうがよい」ということになります。
--日本企業はまだソーシャルネットワークの扱い方を理解していないところが多く、従業員にTwitterやFacebookへの書き込みを禁止しているケースも見受けられます。しかし一方で、顧客とのコミュニケーションを図るためにソーシャルネットワークを無視することはできなくなってきているという現状に、ジレンマを感じている向きも少なからずあります。
Collins氏:それは非常に馬鹿馬鹿しいことですね。ソーシャルへの流れはもはや世界的なものであり、止めることはできません。モバイルデバイスがここまで普及した以上、いくら従業員に禁止したとしても、スマートフォンやタブレットからいくらでも情報を発信することが可能です。従業員にソーシャルであることを禁止しながら、顧客に対してソーシャルな対応ができるとはとても思えません。
ただし、コンシューマーで普及しているTwitterやFacebook、mixiなどのプラットフォームは、ビジネスで使うにはさまざまな意味でふさわしくない側面があることは確かです。Chatterはそのためのツールです。使いやすく、セキュアでプライベートなソーシャルエンタープライズな環境を構築することができます。
もうひとつ、ソーシャルエンタープライズがコンシューマーと異なるのは、「生産性を上げる」ためのプラットフォームでなくてはならないという点です。ミーティングや外出、メールを減らし、時間を有効に使えるようにするための機能がChatterには数多く搭載されています。また、非常にオープンな設計であるため、既存のエンタープライズ製品や外部のプラットフォーム(Twitter、Facebook含む)との統合が容易である点も大きなメリットのひとつです。
--日本でも社内SNSやイントラネットなど、ソーシャルエンタープライズ的なソリューションを導入している企業は少なくないのですが、それほど普及してこなかったのは「使っていてもつまらない」からではという気がします。反面、Chatterが多くの企業に受け入れられている背景には、TwitterやFacebookと同様に「使っていて楽しい」と多くの人が思っている点も大きいのではないでしょうか。
Collins氏:おっしゃるとおりです。ソーシャルの基本はコンシューマー/エンタープライズ問わず、「voluntary(自発的)」であることです。つまりユーザーが使いたいから使うという点が非常に重要なのです。ユーザーインターフェースも含め、使っていて楽しい気持ちになることは、生産性を上げるためにも欠かせない要素です。
現在、「ジェネレーションY(1975年〜1989年に生まれた世代)」と呼ばれる世代の人々が社会で活躍していますが、彼らも含め、それ以下の若い世代は子供のころからインターネットや携帯電話が存在し、ソーシャルネットワークを非常に身近なものとして育ってきました。彼らにとってメールはもはや「旧いテクノロジ」であり、使いにくいツールなのです。「Cc:の使い方を知らない」という若者も少なくありません。メールベースのコミュニケーションを主流とする時代は終わりを告げつつあるといえます。その流れは確実にエンタープライズの世界にも入ってきています。
エンタープライズのアプリケーションはこれまであまりに選択肢が少なかった。しかしモバイルやソーシャルなど、コンシューマーのテクノロジが入ってくることで、これからはユーザーが選ぶ時代に変わることは確実でしょう。
--Chatterの競合としては、Microsoft SharePointやIBM Lotusなどが挙げられますが、これらに対する優位点はどこにあると思われますか。