F5ネットワークスジャパンは、セキュリティ専門組織を設置するなど同分野に対する投資を拡大する。12月21日に開催した記者会見で明らかにした。
2004年から同社が開発しているF5 TMOSにセキュリティ機能をプラグインすることで、パフォーマンスを維持しながら高度なセキュリティを実現するOSへと進化させる。今後、年間3種類程度のプラグインを継続的に投入していくという。
F5 TMOSでは、各種セキュリティ機能をプラグインで統合できる特徴を持つとともに、アプリケーション・フル・プロキシによりコネクションを完全に独立させ、L3~L7のアプリケーションペイロード情報までを解析。同社の言語であるiRulesの活用や、9万人の会員を誇るコミュニティサイト「DevCentral」との連動、アプリケーションの利用形態にあわせたポリシーの実行、迅速で柔軟なセキュリティの統合管理が可能であるとする。
また、アプリケーション・フル・プロキシにより、機密情報の流出を防ぐデータガード機能、分散アプリケーションのセキュリティポリシーを一元管理できるiAppsを搭載する。
同社では、これをF5が掲げるコンセプト「Strategic Point of Control」に基いた新世代セキュリティと位置づけ、アプリケーション視点のセキュリティを実現するコアテクノロジーとする。
F5ネットワークスジャパン代表取締役社長 アリイヒロシ氏
F5ネットワークスジャパンの代表取締役社長であるアリイヒロシ氏は、「市場ではポイント・トゥ・ポイントのセキュリティ製品が数多く存在し、サイロ型となっているため、多くのコストがかかっている。F5ではトータルソリューションとして、ひとつのプラットフォーム上でセキュリティ技術を提供することができ、ポリシーを一元管理して、いつどこでどう使われているかというコンテキストの理解を高め、コスト削減につなげることができる効率的なセキュテリィ環境が実現できる。今後F5は、セキュリティに関するアーキテクト、ソリューション、製品に対して投資をしていく考えであり、今年10月からは本社にセキュリティ専門組織も立ち上げた。日本法人でも体制を整える考えである」などと語った。
同社では、攻撃が巧妙化していること、クラウドの登場などによりITインフラが変化していること、マルチデバイスの活用によりユーザーが変化しているといったことを背景に、セキュリティの複雑化やアプリケーション視点でのセキュリティが欠如していることを指摘。セキュリティ管理の分散化によって、組織は新たなセキュリティ体制を構築する必要があるとする。
F5ネットワークスジャパン シニアソリューションマーケティングマネージャ 帆士敏博氏
F5ネットワークスジャパンのシニアソリューションマーケティングマネージャである帆士敏博氏は、「セキュリティ対策投資の90%はネットワークを対象としているが、攻撃の75%はアプリケーションを狙ったものとなっており、投資の対象そのものが誤っている。また、ネットワークファイヤウォールやIDS/IPSがあれば、アプリケーションへの攻撃を防御できるという考え方も誤解である。ウェブアプリケーションに対する157万件の攻撃のうち、54%の攻撃がIDSでは検知できなかったという結果も出ている」とし、「当社はアプリケーション視点のユニファイド・セキュリティ・コントロールを提案できる点が大きな特徴であり、そこに向けた投資を拡大していくことになる。様々なアプリケーションをF5 TMOSへ統合する『統合化』、どんな攻撃があるのかといったことを見える化するとともに、グローバルに分散したアプリケーションなども一元的に管理する『可視化』、問題が発生した場合にはポリシーを自動的にプッシュするような『自動化』といったステップを追って、進化を遂げていく」などとした。
一方アリイ氏は、米F5 Networksの2011年9月期決算が、前年比31%増の11億5100万ドルとなったこと、第4四半期決算も売上高が前年同期比24%増となったことを示し、「安定的な財務基盤の構築と、製品開発に投入可能な財務の確保できている」とした。
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