ストールマン、現代の電子書籍に抗議 企業が規定した読書体験しか得られない

末岡洋子 2011年12月22日 12時02分

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 昨日掲載した記事では、Richard Stallman氏の講演の導入部分をレポートした。

 この講演は、ドイツ・ベルリンのブランデンブルグ科学アカデミー デジタルイニシアティブ「TELOTA」の10周年を記念したイベントでのスピーチで、テーマは「コンピュータネットワーク時代における著作権とコミュニティ」だ。

 今回は講演の中で「著作権」に関する部分を紹介する。Stallman氏は著作権の発達に影響を与えた複製技術の進化とともに、著作権の変遷をなぞってみせる。

 複製手段が書き写ししかなかった昔、複製を1部作成するのは時間がかかり、規模の経済が当てはまらないため、当時の人々には著作権という考えが浮かばなかった。その後、印刷機の誕生によって複製作業が効率化されると著作権がうまれる。実際には、1553年に英国のメアリー女王が検閲システムとして開始したものだ。出版したい人は国から許可を得る必要があり、永続する独占的な権利(モノポリー)として出版社に付与された。

 1700年頃、アン法で著作権は作者に対して与えられる権利となった。有効期限は死後14年、1回のみ更新できる。土台には、作成と執筆活動を奨励するという狙いがあり、知識や議論につながる著作が増えることは全員の関心であると考えられていた。作者がコントロールするものだが、出版業界の規制と考えられており、実施や強制も容易だった。

 当時、1部だけ複製するよりも大量生産(マスプロダクション)の方が効率的になっていた。印刷機は限定された人しか使えないため、生産は中央化された。だが、印刷機側も進化する。1800年代には複製を作成するコストは下がり、富裕層でなくとも本を入手できるようになる。そして、デジタル技術の進化により、1つの複製物を作ることとマスプロダクションは同じぐらいの作業になった。この結果、人々はこれまでにはなかった自由を得られることになる。

 しかし、政府の反応は民主主義とは正反対のものだったとStallman氏は言う。自由や権利を認めるどころか、著作権を厳しくして自由を制限する方向に向かっているというのだ。その理由は「市民ではなく、企業や産業の意見を反映させようとしているからだ」とStallman氏。顕著なのが、ミッキーマウスの最初の映画の期限が切れる前に、他の企業とともに有効期限の延長を推進し、それに成功したDisneyだと述べる。有効期限が切れた後は、誰もがミッキーマウスの絵を使えるようになる。Disneyは20年の期限延長に成功したが「20年が近づく2018年前に、Disneyは再び延長を試みるだろう」とStallman氏は予言する。

 Stallman氏は、著作権の問題を「長さ」と「深さ」(範囲)の両面から突いた。

 長さでは、欧州と米国では作者の死後70年と「異常なぐらい長い」(同氏)。その背景には、Disneyのように、著作権の有効期限が議論に持ち上がるたびに期間を延長することで合意してきたからだという。印刷機の時代なら期限は市民に直接関係なかったが、家庭にコピー機能付きのプリンターがあり、CDを簡単にリッピングできる時代ではおおいに関係がある(欧州連合では、録音した音楽の著作権が50年から75年になるという法案が可決された)。

 「死後の有効期限を伸ばすことが、著作の奨励になるだろうか? 過去の作品についてはタイムマシンが必要なレベルだし、将来の作品もまともな感覚の作者なら影響は受けない」とStallman氏は言うが、欧州と米国は最悪な例ではないという。Stallman氏によれば、メキシコでは死後100年なのだ。

 では、深さ(範囲)はどうだろうか。

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