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ストールマン、現代の電子書籍に抗議 企業が規定した読書体験しか得られない - (page 3)

末岡洋子

2011-12-22 12:02

 そして、電子書籍もStallman氏が長期的に動向を見守っている分野だ。

 書籍のデジタル化は少なくとも2000年前半から業界が試みているビジネスで、すぐには離陸しなかった。「何度も試みるだろうと思っていた」というStallman氏、予想通り電子インク技術企業、ソニーやAmazonなどが粘り強く取り組んだ。それが奏功し「ユーザーの自由を犠牲にして、便利さを改善してカムバックした」

 Stallman氏は例として、Amazonの「Kindle」を持ち出した。「印刷された本なら匿名で購入できる自由があるが、Kindleにはこの自由がない。Amazonはユーザー情報とユーザーが何を読んでいるのかなどの情報も持っている。このリスクは寛容できない。人権の危機だ」

 購入だけではなく、貸与、譲渡、売却など、その後の権利も奪うものだと指摘。そういった点で、Kindleは搾取を意味する「Swindle」だと言う。「Amazonはユーザーに対し、本を所有できないと言っているようなものだ。われわれが得られるのは本を読むためのライセンスにすぎず、Amazonが規定した制限の下でしか読書体験を得られない」

 これにくわえ、Kindleには「バックドア」がある点も警告した——Amazonが2009年、ある書籍を購入したユーザーのデータをリモートで削除した際に明らかになったもので、当時メディアでも大きく報じられた。皮肉なことに、その書籍とは監視社会を描いたジョージ・オーウェルの『1984』だった。

 Stallman氏はまた、電子書籍の社会的なマイナス面も挙げる。電子書籍では本の貸し借りが容易ではなく、友人宅に遊びに行き、本棚にある本を借りる、という読書家の楽しみを壊すと主張。「読者の友情を壊す。読者をコミュニティからコンシューマーにする」と述べる。

 Stallman氏はこれら“デジタル手錠”の例を示し、その特徴を「一社が展開しているのではなく、陰謀により成り立っている」と説明する。「陰謀といえる証明?——簡単だ。陰謀側は堂々とウェブサイトを立ち上げて宣言しているし、加わっている企業も一目でわかる。われわれはもっと真剣に、彼らが何をやろうとしているのかを考えるべきだ」と述べ、FSFがDefective By Designとしてデジタル手錠に反対、抗議する運動を展開していることも紹介した。

 Stallman氏はスピーチの中でいくつかの企業を名指して批判したが、中でもソニーについては厳しい目を向けた。先のルートキットのほかにも、昨年から今年にかけて話題となったゲーム機「PlayStation 3(PS3)」でのLinuxインストール機能削除に至る背景とその後の対応についても激しく批判し、「FSFはソニー製品の全面的なボイコットを呼びかけている」「ソニーが製造した製品は、なんであっても買うな!ソニーを拒否せよ!」と聴衆に訴えた。

 前回と合わせ、ここまでは状況に対するStallman氏の「抗議」を中心に紹介した。次回(12月24日掲載)は、氏による「提案」を紹介する。著作権の長さと深さ(範囲)の2点について、具体的に提言している。

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