スマートデバイス増加と同時にソーシャル化--日本IT市場予測10項目(後編) - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2011-12-31 14:35

 だが、日本企業の海外進出、ビジネスのグローバル化のスピードが速いことから、国内ベンダーの施策が追い付けないこともある。

 海外に進出する日本企業が求めているのは、進出先に拠点があるというだけに留まらず、進出した市場のビジネス環境や商流、適切なシステムの構築と運用についての知識を持っているというレベルにまで高まっている。日本国内のベンダーが短期間にそれらの市場知識を有機的な形、つまり自社だけの力で取得するのが困難であることは、厳然たる事実である。

 こうした日本企業の海外ITニーズと日本のベンダーのギャップをビジネス機会としてとらえようとしているのが、グローバルなITベンダーであり、オフショアITベンダーである。2012年は日本企業の海外進出という新しい“成長市場”を巡る国内ベンダーやグローバルベンダー、オフショアベンダーの争いが本格化する最初の年とみている。

9.センサネットからネットに接続する“スマートデバイス”が増え、デバイスの“ソーシャル化現象”が起きる

 IDCが言う「第3のプラットフォーム」のビジョンには、全世界で1000億個以上のセンサ、タグ、115億個というネットに接続される端末も含まれている。これらの端末を構成するのは、組込システム、ゲーム機やテレビ、ラジオ、レコーダ、オーディオ機器などのネット接続機能を持つエンターテインメント機器、冷蔵庫や体重計、血圧計、エアコンといった家電品、自動車、エレベータなどの一般産業製品などだ。中には、橋梁や高速道路なども含まれている。これらは、従来のIT機器には含まれなかったものであり、スマートデバイスとも呼ばれる。

日本独自仕様の「おサイフケータイ」の上位互換サービスであるNFC(Near Field Communication)が世界的に採用され始める

 おサイフケータイは、日本以外では、一部地域でしか採用されてこなかった。非接触ICカードの新しい国際標準規格のISO/IEC 14443(Type AとType B)を取り込んで、それぞれNFC-AとNFC-Bとして従来のおサイフケータイで用いられたFeliCaの通信技術をNFC-Cとして、これら3種類のNFCを等価に扱える仕様が開発されている。

 IDCは今後12~24カ月以内に、欧米で実証実験が始まり、2015年には全世界で5億台のスマートフォンがNFCをサポートすると予測している。

ヘルスメーターがTwitterでつぶやく

 今後12~24カ月の間に、自動車や飛行機などを含む、ネット接続機能を持つ産業製品、家電製品、エンターテインメント機器の数は全世界で35億台を超えるとIDCは予測している。

 これらの端末はリアルタイムに状態をネット経由で共有する機能を持ち、サービス要求を出したり、到着を知らせたり、特定のイベントが発生したりすることなどを通知するといった機能を搭載している。スマートデバイスで状態をチェックするだけでなく、スマートデバイスが人間をフォローするという相互のコミュニケーションが行われるようにもなる。

 この状態はスマートデバイスのソーシャル化とも呼べる現象である。スマートデバイスの標準プラットフォームの地位を獲得すると、世界を掌中に収めるとといっても過言ではないという。スマートデバイスの標準プラットフォームの座を巡る競争が激化すると予測している。

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