2012年はビッグデータ、ソーシャル、セキュリティに注力
日本IBMのソフトウェア事業は2012年、「ビッグデータ」「ソーシャルビジネス」「セキュリティ」を対象に重点的に力を注ぐ。
マハジャン氏はビッグデータの特性を「3つのV」と表現した。
構造化データと非構造化データが混在する状況を示した「Variety(多様性)」、間断なくデータが生成され続ける「Velocity(頻度)」、その結果として生まれる「Volume(量)」という3つのVだ。「Volume」にはデータの量という意味に加え、ビッグデータを分析するための膨大な「計算量」という意味も含まれている。
こうした3つのVに対して、IBMは「コンプリートな仕組みを持っている」とマハジャン氏。従来型の構造化データの分析にはデータウェアハウスアプライアンスの「Netezza」を、大量の非構造化データにはHadoopベースの「InfoSphere BigInsights」を、そして超高頻度データのリアルタイム分析処理には複合イベント処理(Complex Event Processing:CEP)の「InfoSphere Streams」で対応するとしている。
なお、テックバイザージェイピーの栗原潔氏は本誌特集「ビッグデータとは何か」で「IBMは最も総合的にビッグデータにアプローチできる立場にあると言えよう」と分析している。
ソーシャルビジネス分野では社内向けSNS「IBM Connections」を軸に展開を図りたい考えだ。Wired誌によれば、1月1日付けでIBMの社長兼CEOに就任したバージニア・M・ロメッティ氏が社内向けの就任挨拶にあたってIBM Connectionsを利用したという。
また、マハジャン氏は単一のソーシャルソフトウェアだけでは生産性の向上に寄与しないとし、この分野においても「コンプリートソリューション」が求められると強調。Connectionsをビジネスインテリジェンス(BI)の「Cognos」やプロジェクト管理の「Rational Team Concert」と連携させるなどして、より高い価値を提供できると述べた。
セキュリティ分野でもコンプリートソリューションの提供を目指す。「現在のセキュリティの課題は、単一の製品では解決できない」(マハジャン氏)からだ。
「セキュリティインテリジェンスが重要になる。毎日データを取りながら(通常とは異なる微妙な違いを検知することで)事件が起こる前に対応する。それが顧客の求めていることだ」(マハジャン氏)
こうしたプロアクティブな対応には、ログの分析やビッグデータに関する技術が欠かせないが、IBMであればそれを一社で提供できるというわけだ。
ビッグ・アジェンダを支える
マハジャン氏は質疑応答の中で、日本IBMが企業の変革を支援するために打ち出したビジョン「ビッグ・アジェンダ」に触れ、「ソフトウェアはビッグ・アジェンダを支える役割を担う」とコメント。「ビジネスにとってソフトウェアはもっと重要になる」とも述べ、統合された柔軟性の高いITインフラを構築するように提言した。
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