2012年度上期までに1万人の人員削減
遠藤社長が「苦渋の決断」と語る構造改革の中心となるのは、2012年度上期までに実行するという1万人の人員削減だ。
1万人の内訳は、国内7000人、海外3000人。そして、正規社員で5000人、非正規社員で5000人の人員削減となる。
NECでは、2966億円の最終赤字を計上した2008年度決算を前後して、2万人規模の人員削減を行っており、このときはNECトーキンを中心にした人員削減を実行。また、半導体事業を行っていたNECエレクトロニクスをルネサステクノロジに売却したほか、PC事業を行うNECパーソナルプロダクツ(現NECパーソナルコンピュータ)を、中国レノボと合弁会社を設立して分離。日本電気硝子および日本電気真空硝子も株式を売却してきた。
しかし、今回の1万人の人員削減は、3年前の2万人の人員削減やその後の大規模な構造改革でも、まだ体質改善が図れなかったことを証明するものになったともいえる。
遠藤社長は、現時点では1万人の人員削減の具体的な対象部門については言及していないが、携帯電話事業、プラットフォーム事業、NECトーキンの3つを課題事業としており、これらの部門が対象の視野に入ってくるのは明らかだろう。
下方修正を繰り返した携帯電話事業
とくに携帯電話事業に関しては、2009年にカシオと日立の携帯電話事業を統合し、NECカシオモバイルコミュニケーションズを設立してから、本格的な構造改革には依然未着手の状態。連結で2200人という従業員数は設立当初から変わっておらず、業務が重複している部分も多い。そうしたことから、今回の構造改革の対象のひとつになるだろうという見方は、NEC関係者の多くに共通したものだといっていい。
同社の携帯電話事業は、2010年度実績で440万台。NEC、カシオ、日立が独立して事業を展開していた2008年度の出荷実績が3社合計で890万台であったことに比べると、統合後に半分にまで縮小している。
そして、2011年度は当初740万台の出荷計画としていたが、昨年後半に650万台へと下方修正。今回の決算発表で、2011年4~12月までの9カ月累計出荷が約330万台に留まったことから、年間出荷計画を500万台へと再度下方修正した。そして、NECカシオモバイルコミュニケーションズは通期で営業赤字になるとの見通しを明らかにした。