自然災害少なくインフラ整備済み、用地とエネルギーに余裕
マレーシアがデータセンター誘致の重点化を採用した理由は次のようなものだ。
まず、アプリケ−ション運用の統合、クラウドサービスの成長などがデータセンターへの需要をさらに後押ししている点。また、現時点においてデータセンター事業でマレーシアより上位にある香港やシンガポールは、「国土が狭く、今後、新規建設のための土地が十分だとはいえない」(T.氏)ため、土地に余裕のあるマレーシアが増大する需要の受け皿になれるとの考えだ。

Tan Tze Meng氏
マレーシアはデータセンター設置に適しているとも言う。MDeCのHead of Policy Planning and Advocacy Unit Digital Infrastracture DepartmentのTan Tze Meng氏は、その理由について「MSC構想によって、我が国には既に23箇所のサイバーシティおよびサイバーゾーンがあり、電力供給体制やブロードバンドのインフラが整備されている。自然災害も少なく、政治状況も安定している。設置コストも低くなるだろう。たとえば、電気料金はシンガポールより40%安く、土地の余剰が十分にあるため、用地の取得費用も抑えられる。現地の人材も優れている」と話す。さらに、MSCでは海外からの進出企業が事業を展開しやすいように、所有権、資本や借り入れの自由、法人税の10年間減免、インターネット上での検閲禁止、知的財産権の保護など、10項目にわたる保障を国際的に公約している。
すでに進出している日本企業には、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)がある。同社はクアラルンプール郊外にあるMSCの中核都市サイバージャヤにデータセンターを設け、2002年からサービスを提供している。現在「サイバージャヤ1データセンター」と「サイバージャヤ2データセンター」を擁しているが、サーバルームの面積が1700平米の「サイバージャヤ3データセンター」の建設を2011年に開始しており、2012年度第1四半期(4〜6月)にサービスの提供を開始する予定だ。
Vijayaratnam T.氏は「データセンター(の集積地域)をいっそう整備、拡充することで、アジア太平洋地域のICT産業の領域で優位に立っていきたい。2015年にはこの地域でのデータセンターのシェア12%の確保を目指している。ICTにより国全体の社会、環境などすべてを変革していきたいと考えている」と述べ、ITの進化、発展による国力向上に強い意欲を示した。
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