メモリをストレージにするディスクレスVDI--反応が高速化、ブートストームを排除

田中好伸 (編集部) 2012年02月07日 16時06分

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 ネットワールドは2月7日、仮想デスクトップ基盤(VDI)の仮想アプライアンスソフトウェア「Atlantis ILIO Diskless VDI」の販売を開始した。25ユーザー単位での販売となり、税別ライセンス価格は25ユーザーで26万2500円。

 Atlantis ILIO Diskless VDIは米Atlantis Computingが開発、ハイパーバイザの「VMware vSphere」の上で稼働する仮想アプライアンスソフトウェア。VDIサーバとして大容量のメモリを搭載できる、拡張メモリ技術を搭載するIAサーバ「Cisco Unified Computing System(UCS)」で稼働する。

 同ソフトウェアを活用すると、デスクトップ仮想化ソフトウェアの「VMware View」や「Citrix XenDesktop」などの仮想デスクトップイメージは、Cisco UCS上の仮想デスクトップが実行されるメモリに展開される。SANやNAS、ローカルのSASやSSDといったストレージではなく、メモリ上に展開することで、デスクトップのレスポンスを高速化できるという。

 インライン重複排除やWindowsのNTFSに特化した読み込みと書き込みの双方向のキャッシング、I/O最適化などの機能で、仮想デスクトップの起動やログイン、プロファイルのロード、アプリケーション起動を高速化し、物理PCを上回る性能が実現できるとしている。ストレージコストを削減できることに加えて、VDIのサーバ投資も最適化できると説明している。大容量メモリを搭載したサーバでVDIの集積度を向上できる効果も加わることで、仮想デスクトップ1台あたりの初期導入コストは、共有ストレージを使用して、仮想デスクトップ60台で構成する場合に比べて約半分になるという。

 VDIの利用形態は、エンドユーザーごとに個別の仮想デスクトップを割り当てて、毎回同じデスクトップを利用する“パーシステント”とエンドユーザーと仮想デスクトップを紐付けずに、毎回異なるデスクトップを割り当てる“ノンパーシステント”の2種類がある。

 今回のAtlantis ILIO Diskless VDIはノンパーシステント環境での利用を想定している。100ユーザー程度の小規模から対応できるが、サーバ数やストレージ数を削減することで導入、運用のコストを低減できるメリットが十分得られることから1000ユーザー程度の中規模以上の導入を想定している。Cisco UCSでの利用を前提として、当面ほかのメーカーのサーバについてはサポートを予定していない。

図 Atlantis ILIO Diskless VDIの構成例。仮想デスクトップ160台に320Gバイトのメモリと仮想CPU19個を割り当てて、Atlantis ILIO Diskless VDIには6GバイトのメモリとCPU1個を割り当てる。160Gバイトのメモリがディスクになる

 VDIはコンプライアンスや情報漏洩対策、事業継続や災害対策、管理の効率化などの点で有効とされている。だが、既存のVDIは、始業時のマシン起動、アプリケーション読み込み、終業時のログオフなど、多数のエンドユーザーが一斉に行うことが多く、共有ストレージへのI/Oが急上昇することでレスポンスが悪くなり、課題とされている。

 パッチ運用やウイルス対策ソフトのアップデートやスキャンなどもストレージへのI/Oが高める要因となって、こうしたピークに対応できるようにストレージやネットワークの設計、導入、管理がVDI構築のカギとされ、十分な性能が出せずにエンドユーザーが拒否反応を示し、プロジェクトの評価段階で行き詰まるケースが少なくないといわれている。

 VDIコスト全体に占めるストレージコストの比率が高い上に、快適な性能を提供するためにストレージを強化することで、コストが増大していく場合もあるといわれている。こうしたことから、不十分な性能やストレージコストがVDI普及のボトルネックの一因になっているとも指摘されている。

 VDIはまた大量にメモリを消費するため、特に128Gバイトを超えるメモリの搭載に関してサーバのさまざまな制約を受け、サーバ上でのVDIの集積度を上げられない場合もあったといわれている。集積度が上がらないことから、サーバやラックのコストがかさむこともVDI普及のボトルネックの一因とも指摘されている。

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