このことは企業のコンピューティングにとって何を意味するのだろうか?
ソーシャルネットワーキングツールは既に企業に入り込みつつある。しかも、それにはちゃんとした理由がある。そもそもFacebook世代はこういったツールに慣れ親しんでおり、迅速な情報共有やコラボレーションの可能性といったメリットについて理解している。また、FacebookやTwitterに似た企業向けツールも既に存在している。プロジェクトや顧客に関する情報を更新すると、有益な知見や情報を有している人たち(今までの状況を知らなかった人たちも含めて)からの示唆が得られるようになるのである。当初のFacebookがアイビーリーグ加盟大学の学生向けの写真集積サイトに毛が生えたようなものであったことを考えた場合、Facebook風のテクノロジを取り入れることで「社内ディレクトリの強化」に結びつけられるということは想像に難くないはずだ。
しかし、当のFacebookは企業のコンピューティング分野であまり積極的な動きを見せておらず、同社の収益モデルの中核はソフトウェア製品ではなく、広告やマーケティングのためのプラットフォーム構築に置かれている。そして、Facebookが企業市場に重きを置くようになる可能性については、株主による収益源重視の姿勢を考えると現段階では排除しきれないものの、かなり薄いというのが筆者の見解である。
このため、Facebookが企業のコンピューティングに最も影響を与えるのは、人と人とのやり取りに関する部分となるだろう。豊富な人脈を持つ幹部が何らかの情報を得ようとする場合、今までであればおもむろに電話に向かい、頭のなかにある連絡先リストを頼りに当たっていき、必要な情報を見つけ出していた。これからの時代を生きる幹部も同じようにして情報を得るものの、使用するツールは異なってくるはずだ。20代の従業員にとって、机の上に置かれている電話機は馴染みのないツールであるため、あなたが有効な代替ツールを提供しない限り、彼らは期待に沿う働きを見せてくれないだろう。「世代間のギャップ」と言われているものの多くは、大袈裟に語られているに過ぎないと筆者は感じているものの、従業員の生産性を最大限に高めるツールを提供するという目的において、ソーシャルネットワーキングを正しく理解できていない企業は一歩出遅れてしまうことになるはずだ。