IDC Japanは2月9日、国内グローバルWANサービス市場予測を発表した。エンドユーザー売上額ベースの市場規模は2010年が前年比3.0%増の406億円、2011年が前年比2.6%増の416億円を見込んでいる。ユーザー企業の積極的な海外展開を背景に成長し、2010~2015年の年間平均成長率2.9%で推移して、2015年の市場規模は469億円になると予測している。
WANサービス市場は、IP-VPN、広域イーサネット、イーサネット専用線、専用線の4つのカテゴリで構成。最大のカテゴリはIP-VPNであり、同市場の7割を占めている。IP-VPNは通信事業者間の相互接続が進んでおり、利用できる国や地域が多いことから、ユーザー企業に広く受け入れられているという。
国内でIP-VPNと並んで広く利用されている広域イーサネットは、海外で利用が進んでおらず、国内グローバルWAN市場に占める比率は1割以下。今後の成長率では広域イーサネットがIP-VPNを若干上回ると予測している。
カテゴリ別の通信事業者の市場シェアを2010年の実績値でみると、IP-VPNではNTTコミュニケーションズが40.1%でトップ、2位のKDDI(37.7%)をわずかに上回っている。広域イーサネットでは、国内広域イーサネット市場で1位のKDDIが64.5%と、他社を大きく上回っている。

売上額シェア(2010年、出典:IDC Japan)
日本を除くアジア11カ国のWANサービス市場の2010年は2桁成長となり、急速に成長しているという。
IDC Japanのコミュニケーションズシニアマーケットアナリストの小野陽子氏は「国内通信事業者にとって、国内顧客の海外進出ニーズに対応し、国内外でシームレスなサービスを拡充していくことが重要である。海外展開は、国内顧客を獲得、維持するためにも必要な戦略」と分析している。
その上で「アジア市場では、国内市場よりも中長期的に大きな成長が期待できる。今後は、日系企業だけでなく、アジアの現地企業にも積極的に営業を展開することが重要になってくる」ともコメントしている。