日本ユニシスで最高技術責任者を務める保科剛氏は、「1960年代、70年代がメインフレームを中心にした企業のIT化の時代であり、垂直統合型の世界だとすれば、80年代、90年代はPCを中心にした個人のIT化の時代であり、水平分業の世界。これに対して、2000年以降は社会のIT化の時代であり、業際をまたがった生態系(エコシステム)の世界になる。産業構造のモデル変化はIT化によって起こってきている。ソーシャルメディアは消費者と企業が一体化していく世界を生み出し、それをマーケティング活動に利用したいという企業は飛躍的に増えている」と指摘する。

日本ユニシスCTOの保科剛氏
こうしてみると、一連のソーシャルメディアによる提案は、これまでの日本ユニシスの提案内容、そして対象とする顧客層とは明らかに異なるものだといっていい。大企業を対象とした基幹システムのビジネスではなく、中小企業を対象にしたサービス提案となるからだ。
だがこれは、これまでの日本ユニシスのコアビジネスと接点がない「浮島」型のビジネスではないようだ。
日本ユニシスの黒川社長は「お客様のもとにお邪魔して、日本ユニシスが持つ様々な業種への導入実績の事例や連携事例などをお話しすると、強い関心をもたれる」と昨今の傾向を示す。
たとえば、日本ユニシスは金融機関に多くの顧客を持つが、金融機関は貯蓄や貸付けといった従来型のビジネスが頭打ちとなり、地域の顧客との連携による新事業創出、事業支援によるビジネスモデルを模索しはじめているという。
「金融機関が地域の企業とどんな連携ができるのかという話へと発展する。事例を紹介することが金融機関のお客様にとってプラスになる」と黒川社長は語る。
こうした金融機関の動きにあわせて、日本ユニシスの新規ビジネスは効果的な提案ができ、日本ユニシスにとっても金融機関を通じて新たな顧客にアプローチできるというビジネスチャンスが得られるというわけだ。
日本ユニシスにとって既存のコアビジネスに置き換わるには道のりはまだまだ長い。
だが、ドアノッカーとしての事業拡大の足がかりという意味では重要な役割を果たすことになりそうだ。
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