IDC Japanは2月22日、国内の従業員999人以下の中堅中小企業IT市場の2012~2015年の市場予測を発表した。2012年の中堅中小企業IT市場は、東日本大震災の復興需要で経済環境が改善することから、前年比1.5%増の3兆5385億円を予測している。
大震災が契機となり、2011年の同市場は前年比6.3%減の大幅なマイナス成長となった。2012年は復興需要から業績が改善し、これまで凍結されていたシステム刷新、新規開発を再開する企業が増加することからプラス成長が見込まれている。産業分野別では、情報サービス(前年比2.6%増)、サービス(同2.0%)で比較的高い成長が予測されている。
だが、電力不足の解決が遅れているほかに、急激な円高や欧米経済の混乱が長期化する可能性も高いことから、経済環境の回復は不透明な状況となっている。こうした背景からIT支出の回復は一部にとどまり、多くの中堅中小企業は、2012年も抑制傾向が継続するとみている。
地域別にみると大震災で被災した北海道・東北では復興が開始されている。しかし中堅中小企業の場合、本格的な再開が遅れる企業も多いことから、2012年も前年比1.7%減のマイナス成長になるとみている。
そのほかの地域では、2012年にプラス成長に回復が見込まれている。特に近畿は前年比2.0%増、九州・沖縄が前年比1.9%増と、復興需要に加えて東日本から一部機能をシフトする企業の拡大によって、比較的高い成長率が予測されるとしている。
同様に、関東も前年比2.0%増と比較的高い成長を予測している。関東に集積する情報サービス業の企業がIT支出を拡大させているためであり、そのほかの産業分野では比較的低い成長にとどまるとみている。
北海道・東北では2012年もマイナス成長を予測しているが、復興が開始し、大手企業の拠点が相次いで設置されていることから、中堅中小企業でも2013年にプラス成長に回復するとみられている。被災地の復興事業としてスマートシティ構想が挙がっていることから、IT支出の拡大が見込まれている。
IDC Japanの市村仁氏(ITスペンディンググループシニアマーケットアナリスト)は「ITベンダーは今後IT支出の回復が見込まれる北海道・東北をはじめとした東日本にビジネス展開を強化し、ユーザー企業のニーズにあわせて迅速に提供する体制を整備することが重要」とコメントしている。