サイオステクノロジーは2月24日、同社の足下の事業環境と経営戦略について記者会見を開催した。同社はGoole Appsを柱としたクラウド事業に注力しており、導入支援サービスにおいては昨年12月末現在で70万アカウント以上の実績を持つ。説明会では、パブリッククラウドサービスの拡大見通しとシステム投資に対する企業の姿勢の変化、その中での差別化戦略をサイオステクノロジーがどのように描くかが語られた。
サービスを買う市場が成長--「SI市場は終えんへ」
サイオステクノロジー
喜多伸夫社長
サイオステクノロジー代表取締役社長の喜多伸夫氏は、企業ITにおいてパブリッククラウドの活用が進む領域として、Google Appsに代表されるグループウェアやSalesforce.comなどの営業支援システムを挙げ、ノンコア領域における企業のIT投資姿勢が初期費用を極力抑えたランタイムライセンスに傾いてきていると説明。サービスを買う市場が成長しており、従来のようなフルスクラッチのSIは選別されにくくなっており、「SI企業及びIT技術者が淘汰される時代」が始まっていると強調した。
こうした事業環境において、パブリッククラウド導入支援を事業の中核に据える同社は、どのように収益性を確保していくのか。
喜多氏は「まだまだ利用者のニーズとして、既存のGoogleAppsでも解決できないような問題は多岐にわたる。ユーザーが実際に使う際に出てくる要求に的確に答えられるソリューションを揃え、ユーザーが快適な環境を享受できるようにすることが重要。市場でそこまでできている同業企業はまだ少数」とみる。この部分にパブリッククラウド導入サービスの差別化の鍵があり、国内でいち早く参入した同社の強味になると話す。
こうして従来型のSIとは異なる事業モデルを明確に打ち出す同社だが、SaaSビジネスの収益性については「儲かるのかどうかという部分で市場の関心が高いようだが、我々の柱であるオープンソース事業がそもそも無料のソフトウェアをベースにした事業。その意味でも他社と比較して収益面での能力は高いし、今のところかなり市場をリードしてやれている」という。
グローバル展開における中国リスク
会見では、同社の海外展開についての考え方にも質問が及んだ。特に現状、中国では使用が難しいGoogleのサービスに軸足を移すことについてどのように考えているのだろうか。
喜多氏は「確かに中国の問題は非情に頭が痛い。現地でVPNを通して、というのも技術的には可能かもしれない。しかしイリーガルとまではいかないまでも、そのような形をエンドユーザーが受け入れ、ITインフラを整えるかといえば二の足を踏むと思う」との認識を示した。だが中国以外の海外については「Googleに関しても他の事業継続関連についても、グローバルに展開しようということを考えている。これについては追って発表したい。Gluegent Apps等のサービスは海外展開準備を粛々と進めている」と展望を語った。