エルピーダメモリに“次”はない 経営体質を変えられるのか - (page 2)

大河原克行

2012-02-28 13:50

韓国ウォンとの差は70% 2世代先の技術でなければペイしない

 エルピーダメモリの経営破綻の陰には、長期化する円高の影響が見逃せない。

 DRAM市場でエルピーダと戦いを繰り広げている韓国サムスンは、ウォン安を背景に世界市場での価格競争力を持つ一方、エルピーダメモリは長期化する円高で厳しい戦いを余儀なくされてきた。

  • 会見会場に入る坂本社長ら、一斉にフラッシュがたかれた

 坂本社長は「リーマンショック前と今とを比べると、韓国のウォンとの差は70%になる。70%の差を埋めるには、テクノロジーで2世代先に行かないとペイしない。為替が完全に競争力を失わせている」とコメント。「いまの時点でそれをいっても負け惜しみになるが、この為替変動の大きさは一企業の努力ではカバーしきれないほど。ここまで為替が振れることを予測できなかったのは私の経営判断ミスともいえるが、ここまでになるとはとても考えられなかったのが現実」などとした。

経営体質をどこまで変えられるか

 では、エルピーダメモリは、今回の会社更正法の申請によって復活できるのだろうか。

 かつて、日本のDRMA事業は世界で70%以上のシェアを誇っていたが、日本の唯一のDRAMメーカーであるエルピーダメモリのシェアはわずか15%。世界第3位に甘んじている。首位の韓国サムスンが45%のシェアを獲得しているのとは大きな差だ。まずは「1年後には30%のシェア獲得を目指す」としたが、その具体策については「ここでは明かせない」と言及をさけ、不透明なままだ。

  • 会見で謝罪するエルピーダメモリの坂本幸雄社長(左)と白井康雄CFO

 シェアの差を生んでいるのはやはり価格競争力だ。もともと信頼性の高い高付加価値製品を中心としていたエルピーダが、いまよりさらに一歩、価格競争力を意識した領域に踏み出せるのかもひとつの鍵になろう。

 坂本社長は「これまでのPC用DRAMの世界が、携帯電話の世界へと広がることになる」と指摘するが、まさにここでもローコストの戦いが重視される。

 20nmというエルピーダの最先端製造プロセスを生かした付加価値戦略とコストダウン効果が鍵となるのは明らかだ。

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