アップル幹部のスコット・フォーストル氏に注目すべき理由 - (page 4)

三国大洋

2012-03-01 17:37

スティーブ・ジョブズの「親衛隊長」

 フォーストル氏はワシントン州出身(お兄さんは現在マイクロソフトのソフトウェアエンジニア)、ハイスクールの成績は「オール5」(GPA 4.0)。演劇部で「スウィーニー・トッド」の主役を演じたこともあったという。

 その後進学したスタンフォード大学在籍時には、米ヤフー共同創業者のジェリー・ヤン氏と同じフラタニティに所属。同大学の大学院でコンピュータサイエンスを学んだ後、すぐにネクスト(NeXT Computer)で働き始め、96年にアップルがネクストを買収したのを機にアップルに移る。アップルに乗り込むジョブズが引き連れてきた「子飼い」あるいは「親衛隊」の1人だったというわけだ。

 アップルでは、Mac OS Xの「Aqua」というユーザーインターフェースのデザインをまかされて頭角を現し、さらにその後iPhone OSをめぐる社内の開発競争で、いっぽうのチーム(Mac OS Xをベースにしたもの)を率いることに。前述のとおり、この競争で勝ち抜き、それが後の躍進につながったことは比較的よく知られていることと思う。いわば「親衛隊の隊長」になったといえよう。

 ジョブズへの心酔ぶりはかなりのものだったとみえ、愛車までジョブズと同じシルバーのMercedes-Benz SL55 AMGにしたほど(逆に、それほどの気持ちがなければ、きわめて扱いづらいとされる上司に20年近くも付き従うことも難しいかもしれない)。

 前述したBusinessweekの特集記事には、見出しの下に次のような導入文が付されている。

"The iOS chief is a lot like his mentor Steve Jobs: brilliant, presents well, a tenacious infighter - arguably just the taskmaster Apple needs to stay on top."
(このiOS開発チームのトップは、彼の師匠であったスティーブ・ジョブズによく似ている。才気煥発でプレゼンがうまく、粘り強くて接近戦の得意なボクサー - アップルが頂点に居続けるためにまさに必要するタイプのリーダー)

 『Inside Apple』を紹介するFortuneのブログ「Apple 2.0」でも、これとほぼ共通するような記述がみられる。

"He's a sharp, down-to-earth, and talented engineer, and a more-than-decent presenter," one entrepreneur told Adam Lashinsky. "He's the total package."
(彼は頭が切れて、地に足が付いていて、才能に恵まれたエンジニアで、相当なプレゼンの名手。彼にはすべてが備わっている)

 そして、こちらの導入文もBusinessweek記事の内容とほぼ同じことを示した文章となっている。

"The senior VP's chief weakness, writes Fortune's Adam Lashinsky, is his naked ambition" (「フォーストル氏の弱点は、剥き出しの野心だ」とアダム・ラシンスキーは記している)

 こうしてみるかぎり、そして過去の実演の模様をみる限り、「華のある役回り」を期待できる最有力候補はフォーストル氏ということができそうだ。

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