「我々の仕事環境、そしてセキュリティ業界に大きな影響を与える力——それはデジタルネイティブだ」
米Symantec プレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)のEnrique Salem氏は、米国で開催されたセキュリティカンファレンス「RSA Conference 2012」の基調講演でこのように語り、インターネットがない世界を知らずに育ったデジタルネイティブが、これまでのビジネスの手法やセキュリティに対する考えを完全に変えつつあるとした。
米Symantec プレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)のEnrique Salem氏
Salem氏は、物心がついてからインターネットに接した世代を「デジタル移民」とし、「我々がインターネットに最初に接したのは主に仕事が中心で、そこから家庭にインターネットが持ち込まれた。それがデジタルネイティブは、仕事でのインターネット利用とプライベートでのインターネット利用の境界線がない」と、2つの世代の違いを説明した。
「私はいつも彼らが協力して問題解決する姿を感心して見ている。彼らはもはや検索クエリに依存していない。情報も、本や記事、ウェブサイトといった単一のソースから得るのではなく、YouTubeやソーシャルネットワーク、そこへの投稿などさまざまなソースから入手する。自らのネットワークを通じて問題の答えを探し出し、コラボレーションで問題を解決する。こうすることで、迅速に、かつ効率的に物事を進めているのだ」(Salem氏)
このようなデジタルネイティブは、「確実にわれわれのビジネスのやり方やコラボレーションの方法を変えていく」とSalem氏は主張する。Salem氏によると、ITのコンシューマライゼーションという考えを急速に拡大させているのもデジタルネイティブで、この世代にとって自分たちのデバイスを仕事場に持ち込むのは当然のことであり、これこそが今後の仕事のやり方であることを理解しなくてはならないとしている。「コンシューマライゼーションへのシフトは現実に起こっていることで、この動きは加速するのみだ。この流れを受け止め、安全な環境を整備しなくてはならない」とSalem氏は言う。