日本IBM、5万5500円から使える「Cognos」--ユーザー部門のための分析ソフト

冨田秀継 (編集部)

2012-03-08 17:33

 日本IBMは3月8日、ビジネス分析の新ソフトウェア「IBM Cognos Insight v10.1」を発表した。デスクトップPC向けのソフトウェアであり、かつ1ユーザーあたり5万5500円(税別)と、同社としては戦略的な製品となっている。バージョンは10.1だが、新しいコンセプトのソフトウェアといえる。

 また、同社ではCognos Insightを一機能として備えるパフォーマンス管理プラットフォーム「IBM Cognos TM1 v10.1」の販売も開始する。同社では4月1日にCognos製品の価格改定を一斉に実施する予定。4月1日以降の価格は、Cognos Insight v10.1が1ユーザーあたり5万5500円(税別、以下同)、Cognos TM1 v10.1が最小構成価格800万円。3月末までは前者が7万3000円、後者が1048万5000円での提供となる。

個人から全社に分析を展開

 日本IBMでは部門レベルの分析ソフトウェアとして「IBM Cognos Express」を提供していたが、Cognos Insightは個人レベルの製品となる。

日本IBM ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業担当の国本明善氏
日本IBM ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業担当の国本明善氏

 日本IBM ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業担当の国本明善氏は、「データや情報の活用では、経営管理部門やIT部門が独自に難解な技術を駆使しながら進めるのではなく、最前線の現場の人も含め、あらゆる人が最適解を導いていく必要がある」として、「Cognos Insightはビジネスユーザーのためのアナリティクスだ」と強調した。

 製品面では、ドラッグ&ドロップによるデータ取り込みに対応するなどの「データ探索」の強化、データの可視化を支援する「ビジュアル化」、データを柔軟に変更してシナリオを作成したり仮説を検証したりできる「What if 分析」、必要に応じて計画や予算を修正したり予測をアップデートできる「プランニング」、ファイル共有やサーバへの情報送信などの「共有」といった特徴がある。

 こうした機能により、「ビジネスユーザーのためのアナリティクスでありながら、全社的に活用頂ける」(国本氏)という。

 Cognos Insightは、主に中堅中小企業(1000人未満)を対象に訴求していく。近日中に国内ユーザー向けのオンラインコミュニティを立ち上げる予定だ。

 Cognos TM1は、Cognos Insightなどのアプリケーション機能の基盤となる製品。IBMはソフトウェア事業で10年以上にわたりミドルウェア分野に注力しており、基本的にはアプリケーションを持たないという戦略を取り続けているが、TM1はまさにミドルウェア分野の製品だ。導入企業の要望に応じて基盤上にアプリケーションを構築する意向を示している。

 国本氏は「従来のCognos TM1は、いわばスーパーカーで難解な操作を求められたが、v10.1でオートマのスーパーカーにして、よりビジネスユーザー主導でソリューションを設定できるようにした。ユーザーはIT部門に頼ることなくプランを策定できるようになる」としている。

日本IBM 常務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏
日本IBM 常務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏

 日本IBM 常務執行役員 ソフトウェア事業担当のVivek Mahajan(ヴィヴェック・マハジャン)氏は、「データを集めてもしっかり可視化しなければ意味がない」として、エンドユーザーの分析力強化を訴える。また、「BAO(ビジネス分析最適化)は非常に大きな市場で、ERPよりも大きい」と述べ、分析ソリューション分野に引き続き注力する考えを示した。

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