シマンテックは3月14日、中堅中小企業向けデータ保護ソフトウェアの新版「Symantec Backup Exec 2012」を発表した。最小構成の価格は15万4200円。
新版はコードネーム「本州」として開発され、グローバルでも広く活用される日本発の技術にこだわったという。特にユーザーインターフェースについては、同社ではあえて外部のコンサルタントに依頼したとしている。
シマンテック代表取締役社長の河村浩明氏は、中堅中小企業(SMB)は「バックアップ専任の管理者を確保できない」ことが最大の問題であるとして、新版の第一のキーワードが「シンプル」であることを強調した。初めての導入でも最短3クリックで設定を完了でき、意識することなくバックアップやリカバリが可能になることはSMBで大きなメリットになるとした。
米Symantecの情報管理グループプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントであるAmit Walia氏は、ITのコンシューマー化、仮想化、クラウドの普及によって、情報の保護がかつてないほど重要になっている説明。Backup Exec 2012は「データ増加の抑制」「プラットフォームの統合」「バックアップの簡素化」によって唯一、これらの問題を解決できるとした。
Walia氏によると、新版は2年の歳月と100万人以上のエンジニアによって完成されたものであり、そこには日本のエンジニアの「モノ作り」の考え方が活かされているという。Backup Exec 2012の特徴として「複雑さの排除」「仮想と物理の一元化」「単一製品であらゆるリカバリ」を挙げた。
複雑さの排除では、使いやすさを徹底的に追求した革新的なユーザーインターフェースを採用し、デフォルトで用意された設定を使用することで3クリックで設定できるという。Walia氏はこれを「指先のバックアップ」と呼んでいる。
仮想と物理の一元化では、VMwareとHyper-Vへの対応やエージェントレス対応、重複排除機能でバックアップストレージを最大90%削減できるとした。単一製品であらゆるリカバリという点について、新版はリカバリ機能も搭載し、バックアップしたデータを仮想化環境を含む別のドライブにリカバリできるようになっている。
シマンテック執行役員マーケティング本部長の石崎健一郎氏は「東日本大震災に関する調査結果報告」を説明。SMBでは震災後に「節電」と「仮想化」と同じレベルで「バックアップ」に関心があるという。
しかしその一方で、運用管理担当者の不在やサーバ障害発生時の対応に課題があるとしており、事業継続計画(BCP)については50%が策定しているだけの段階だという。25%はシステム障害やデータ消失を実際に経験していることも明らかにしている。
新版では、インターフェースを刷新したほか、従来のジョブ単位からサーバ単位に設定をまとめ、より直感的に使いやすくしたことを強調している。「Simplified Disaster Recovery(SDR)」機能を実装して、リカバリの自由度を広げたという。SDRは、OSを含むシステム全体を復旧するためのものであり、障害が発生したシステムを物理サーバ、Hyper-VやVMwareのゲストのいずれでも、簡単に復旧できるようになっているとしている。
Backup Exec 2012では、物理サーバから仮想サーバへの変換(P2V)も可能になっている。災害対策として、保護対象のサーバを仮想マシンに変換しておけば、災害復旧(DR)サイトに物理サーバと同スペックの予備ハードウェアを用意する必要がなくなる。
可搬性の高いメディアにバックアップして遠隔地に移送、保管、リモートへのバックアップも可能にした。これらによって、物理と仮想の一元管理や重複排除によるバックアップ時間の削減、リストア時間の短縮、コストの削減、またホスト単位でのライセンスで導入や管理をシンプルにしたと説明した。