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ソフトウェア品質をどう担保するか--品質監査制度の確立に向けた取り組み - (page 2)

杉山貴章(オングス)

2012-03-22 20:04

ユーザーの利用状況を品質評価にどうフィードバックするか

 他者に対する品質説明力を高めるためには、まず何をもって「安全である」「品質が高い」とするのか、その基準を定めなければならない。ところが、現在の産業界はこの点に大きな問題を抱えていると、IPA/SEC統合系プロジェクト兼組込み系プロジェクトのサブリーダー務める田丸喜一郎氏は指摘する。

 「そもそも2010年のリコール問題以前から、設計段階だけでなくテストまで含めた製品のライフサイクル全体で品質管理を考えていかなければならないという要望は強まってきていました。そこで問題になるのが、ソフトウェアの設計者が、あらかじめユーザーの利用シーンまで完全に想定することは難しいという事実です。例えば設計者がまったく想定していなかった使い方を利用者がしないとは限りません。安全性を評価するためには、そのような新しい使い方もうまくテストに取り込んでいけるようにしなければいけません」(田丸)

 製品・システムの高度化や複雑化、そして利用者の多様化が進むにしたがって、この問題はより顕著になりつつあるという。そのため、安全性や品質の基準は、設計者・開発者の視点だけではなく、第三者の目線に立って定めることが重要となる。さらにその基準には、利用者がどのような使い方をしているのかという現実をフィードバックし、製品と利用者とのギャップを埋めていけるような仕組みが必要になるわけだ。

技術の進歩への対応も不可欠

 品質評価の基準は、利用状況の変化だけでなく、技術の進歩にも対応しなければならない。近年では技術の進歩や製品化のスピードが従来よりも格段に早くなり、利用者が知らない最先端の技術が製品やサービスに取り込まれるようになってきている。このことは、利便性や安全性を向上につながる一方で、安全基準や利用基準がすぐに陳腐化してしまうというリスクもあることを意味している。

 例えば、最近ではスマートフォン向けサービス事業者による過剰な個人情報の収集や、ソフトウェアの不具合による障害の多発などが問題になっている。スマートフォンはユーザーの個人情報が満載された極めてプライバシー性の高い端末でありながら、技術の進化が早く、新しいサービスが次々と生み出されているため、品質や安全に対する基準が明確化されていない。その結果、利用者が多くの潜在的なリスクを抱えたまま生活することになってしまっているのだ。

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