日立、ビッグデータ活用支援ソリューション「vRAMcloud」

田中好伸 (編集部)

2012-03-27 14:06

 日立製作所は3月27日、ビッグデータの戦略的活用を支援するソリューション「vRAMcloud(vitualized Random Access Memory cloud)」を3月28日から提供すると発表した。第1弾として、金融機関向けにプライベートクラウドの形態での構築サービスを提供する。

 vRAMcloudは、企業内外のさまざまな種類のビッグデータについて、データの統合管理とともに、データの特性に応じて、ストリームデータ処理からバッチジョブ並列処理まで分析や処理が可能な情報処理基盤を構築する。同社が提供するクラウドソリューション「Harmonious Cloud」の業種向けソリューション強化の一環になる。

 日立は2011年5月にVMwareと戦略的に提携。両社の製品や技術を融合して、日立の金融機関向けに培った基幹系システムの構築ノウハウを盛り込んで、ビッグデータ分散処理を効率的に進めるための基盤システムの構築に有効なフレームワークを開発している。

 新たに開発したフレームワークには、データの分散処理のためのさまざまな設計技法やドキュメント群のほか、ストリームデータやファイルデータ、データベースといったデータの特性を維持したまま、各種データを統合的に管理できる共通接続インターフェースを含んでいる。ビッグデータを分析するアプリケーションには、各種データの所在を意識することなく、目的のデータにアクセスできるという。

 このフレームワークを活用することで、VMwareの分散キャッシュソフトウェア「VMware vFabric Gemfire」を中心に、オープンソースの分散並列処理フレームワーク「Hadoop」、日立のストリームデータ処理ソフトウェア「uCosminexus Stream Data Platform」やバッチ分散処理ソフトウェア「uCosminexus Grid Processing Server」などが連携され、単体の製品だけでは難しい高度な情報処理が実現できるとしている。

図 vRAMcloudの概要
※クリックすると拡大画像が見られます

 vRAMcloudは、ストリームデータ処理や分散キャッシュ処理などのインメモリ処理技術を活用して、SNSなどの日々大量に発生するデータをリアルタイムに分析、処理することができるという。数時間かかっていたバッチ処理をバッチジョブ分散並列処理で分単位に短縮できるとしている。ユーザー企業は、現在のリアルな情報と、過去の蓄積情報を瞬時に分析、照合して、いち早く顧客ニーズの変化をとらえた業務オペレーションを実行できるという。

 たとえば顧客情報管理(CRM)業務では、SNSやメールなどで寄せられたクレーム情報をリアルタイムに抽出して、該当する顧客情報と瞬時に照らし合わせて、関連部署へプッシュで配信して、スピーディーに顧客対応するといったことが可能になるとしている。日立では、1000万人以上の顧客情報に対するあいまい検索や範囲検索など個人の特定が難しい複雑な検索についての実証実験を展開。RDBMSで約10秒かかっていた検索時間を、vRAMcloudを活用することで1秒以下に短縮するということを実現したという。

 現在、多くの業務システムで利用されているRDBMSは、あらかじめ将来のデータ増加を見込んだ、大規模なIT資源のサイジングが必要となっている。拡張性も十数台のマシンで限界に達すると指摘されている。システムを運用していく中で、RDBMS上のデータの増加や偏りが発生して、データの分割や再配置といった煩雑な保守作業が必要になっている。

 vRAMcloudは、分散キャッシュや仮想化技術をコアとして活用することで、小規模からの導入に加え、数百台以上に拡張しても、処理能力を向上できるプライベートクラウド基盤を構築する。分散キャッシュ技術上のビッグデータについて、人手でデータを割り振ることなく、自動的に各マシンに均等にデータを再配置できるとしている。システム拡大とともに、ソフトウェアのライセンス料や保守料が増加するRDBMSと比較して、運用コストを半分以下に抑えられるという。

 vRAMcloudは、導入診断や導入などのコンサルテーション、システムインテグレーション、既存システムからのマイグレーションで構成される。いずれも価格は個別見積もりとなっている。

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