インテルは3月27日、同社IT部門によるパフォーマンスレポートを発表した。インテル社内のデータセンターの効率化や、クライアントPC導入の効果などについて公表するとともに、2012年以降の計画についても明らかにした。
同社では、IT部門における取り組みを「IT@Intel」と名付け、2000年に取り組みをまとめたパフォーマンスレポートを公開してから今年で11年目を迎えている。
「インテルが自らのITシステムの活用内容について公開することで、ユーザー企業に対して影響を与える一方、これに対するフィードバックをもらいインテルの社内システムに反映。それにより、IT業界全体の発展につなげていくことが狙い」(インテル 情報システム部 部長の富澤直之氏)とする。
数字で見るインテル 情シス部門の成果
インテル 情報システム部 富澤直之部長
最先端のIT企業であり、グローバルカンパニーであるインテルのIT部門の取り組みは、多くの企業にとって手本となるのは明らかである。
インテルは全世界62カ国に164拠点を持ち、9万1500人の社員が勤務している。世界87カ所のデータセンターは、38.2ペタバイトのストレージ容量を持つという。
社内で使用されている10万台以上のノートPCのうち、89%がSSD搭載ノートPCであり、90%のノートPCでディスク暗号化に対応している。
さらに、社員が使用しているハンドヘルド機器(スマートフォンやタブレットなど)は約2万9000台。そのうち、個人所有のデバイス比率は1万7000台と58%に達し、最近話題の「Bring Your Own Device(BYOD)」(従業員の指摘デバイスを業務に利用すること)への取り組みでも先進的だといえよう。
最新デバイスの導入にも積極的で、2011年にWindows 7の導入を完了。インテルのSSDの導入も行っている。2012年からは、UltraBookの導入も開始する予定だという。
加えて、ビデオ会議によって出張コストを7300万ドル削減、最新のIT機器を導入することでITによるCO2排出量を24万6000トンに抑えたという成果も出ている。
さらに、エンタープライズ環境の64%は仮想化が完了し、2012年にはこれが75%に到達。データセンターの拠点数は2008年比で26%削減したほか、サーバ上に導入されたジョブの実行を高速化するNUMA Boosterの採用により、設計業務の単位コスト効率を29%向上。ラックマウントサーバからブレードサーバへの移行で、ハードウェアの総保有コストを29%削減したという。
また、ストレージの最適化技術やXeonプロセッサ搭載ファイルサーバの導入により920万ドルの設備投資を削減し、年率45%増の処理需要の増大に対応しながら、サーバ数を25%削減したという。
こうしたインテルのITシステムの開発、運用を行う社内IT部門は6400人。FA管理部門の約1000人などを含んでいるため、人数はやや多めになっているが、この1年の間に12社を買収したことで全社員数が約1万人増えたのに対して、IT部門の人員は横ばいのままだ。