オラクルのハードウェア戦略を読む(前編)--オープン系システムの功罪を解く - (page 3)

田中好伸 (編集部) 2012年04月02日 12時00分

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システムカンパニーとなったOracle

 現在、日本オラクルの執行役員でシステムズ事業を統括する野々上仁氏はZDNet Japanの取材に「オラクルはシステムカンパニー」と語る。ここで野々上氏が言う“システムカンパニー”とは、つまり垂直統合で製品を開発できるというところにある。

 たとえば米Appleは消費者向けにハードウェアからソフトウェアまで作り込んで製品を開発している。最たる例が「iPhone」や「iPad」だ。実際にAppleはiPhone向けのチップを設計するためにチップメーカーを買収している(改めて言うまでもなく、Appleは「iTunes」や「iCloud」のように、垂直統合でサービスも提供している)。

写真3 日本オラクルの執行役員でシステムズ事業を統括する野々上仁氏

 これと同様にSunを買収したOracleも、垂直統合で製品やサービスを提供できるメーカーになっている。Appleとの違いは、消費者向けか企業向けかの違いでしかない。AppleがiPhone向けチップを設計するためにチップメーカーを買収するのと同様に、Oracleもユーザー企業に提供する製品を開発するためにSunを買収した――。そう考えると、OracleのSun買収の意味合いもよく分かるはずだ。

 2009年4月のOracleのSun買収が明らかになった時点でZDNet Japanは特集を組んでいる。サーバをはじめとするIT基盤に詳しい、ガートナー ジャパンのバイスプレジデント兼最上級アナリストの亦賀忠明氏は、当時ZDNet Japanの取材に対して「業界全体として、個別製品の闘いからシステム全体の闘いへという流れになっている」とコメントしている。

 つまりユーザー企業は「ハードウェアからソフトウェアまでのすべてをシステムとして要求するようになっている」という現実があるためである(ちなみに、IBMはサーバブランドとして“System”を2005年から使っている)。

 亦賀氏の説明はこうも言い換えることができる。ユーザー企業は業務に必要とされる機能と性能が出るシステムが欲しいのであって、特定のハードウェアやソフトウェアを欲しているわけではない――。まして導入時や導入後の運用管理の手間はできるだけ減らしたいというのがユーザー企業の本音だろう。こうしたユーザー企業の思惑を汲んで、OracleはSunを買収したと表現することも可能だ。

ユーザー企業が検証しなければならない

 Sun買収後のOracleはメッセージとして「Engineered System」という言葉を使っている。このメッセージは、企業に必要とされる機能と性能をシステムとして、“システムカンパニー”であるOracleが開発、提供できるということを表現している。

 Engineered Systemというキーワードは、Oracle/Sunが開発する製品のコンセプトとなっている。Exadataのように、ハードウェアとソフトウェアを作り込んでシステム全体として最適化して開発するというものだ。ZDNet Japanの特集「ビッグデータとは何か--課題と機会、ベンダーの戦略」の中で栗原潔氏が説明するように、Engineered Systemはまさしく、これまでの「水平分業型モデルに対するアンチテーゼ」である。

 2011年11月に来日した、米Oracleでシステムズ事業のストラテジックエンゲージメントのシニアディレクターを務めているShane Sigler氏(Sun出身)は、ZDNet Japanの取材に対して、現在の“Best of Breed”によるシステムが「複雑さをもたらしている」と説明する。

写真4 2011年11月に国内で開催されたイベントで講演するShane Sigler氏

 たとえばCisco Systemsのネットワーク機器、IBMのサーバ、EMCのストレージ、OSとして「Red Hat Enterprise Linux」で構成されるシステムがあるとして、そのシステム全体としての「検証はユーザー企業が行わなければならない」(Sigler氏)。

 Sigler氏は現在のシステム導入として「Architecture(アーキテクチャ)→Optimize(最適化)→Deployment(実装)」という3つの段階を経る必要があると説明する。さまざまなユーザー企業で活用されている多種多様なシステムをみていく中で「同じ構成のシステムは一つとしてない」(Sigler氏)という。Best of Breedでのシステムは「まずアーキテクチャからテストをする必要がある」(Sigler氏)。

 つまり、ユーザー企業が必要としているシステムに、選択したネットワーク機器やサーバ、ストレージ、ソフトウェアなどが相応しいものかどうかを根本的にあっているかどうかを、ユーザー企業が自ら検証しなければならない(もちろんソフトウェアメーカーやハードウェアメーカー、そしてシステムインテグレーターは、こうした状況を分かっており、ある程度の“検証済み構成”として参照モデルを提供している)。

 Oracleが提唱するEngineered Systemは、「アーキテクチャと最適化の段階を圧縮できるのがメリット」(Sigler氏)という。Exadataであれば、その後の「実装もより早くできる」とも主張している。

(後編はこちら

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