ExadataやExalogicからのいいとこ取り
SPARC SuperClusterは、5Uのラックマウントサーバ「SPARC T4-4」(SPARC T4が4つ、コア数32)がベースとなっているが、ExadataとExalogicから“いいとこ取り”している。Exadataからは「Exadata Storage Cell」を、Exalogicからは「Exalogic Elastic Cloud Software」を活用している。しかも、OSとしてSolarisが採用されている。
Exadata Storage Cellは、データベースに最適化されたストレージセルだが、フラッシュチップとしてSunが開発していた「Sun Flash Module」を活用している。Sun Flash Moduleは、通常のHDDが300台分にあたる毎秒10万I/Oを1枚で提供できるというものだ。これは、近年の横ばいで推移するHDDの性能、つまりHDDがシステムのボトルネックになっている状況を改善するためのものだ。

速度向上を狙うため、Exadata Storage Cellには「Smart Flash Cache」という技術も活用されているが、これは利用頻度の高いデータを効率的にフラッシュメモリに格納するものだ。Exadata用のSmart Flash Cacheの場合、HDDから読み込まれた利用頻度の高いデータを処理する時、メモリバッファがあふれた場合、フラッシュメモリ上に格納して処理する。利用頻度の高いデータのHDDとのI/Oが減ることから、データベース処理の高速化が実現できるとしている。
ExadataやExalogicでは、アプリケーション実行ノードがInfiniBandで接続されている。InfiniBandは、現在一般的なスーパーコンピュータで利用されているものだ。スパコンと違い、普通の企業で活用されているサーバクラスタはギガビットイーサネット(GbE)で結合されているが、この部分がミドルウェアにとってボトルネックになっていると指摘されている。
このInfiniBandの性能を最大化させるために開発されたのがExalogic Elastic Cloud Softwareだ。この技術では一般的なイーサネットによるTCP/UDP/IPでの“バケツリレー”の処理ではなく、SDP(Socket Direct Protocol)を活用している。SDPは内部的な中継処理が少なく、CPU負荷を下げながら速度を高められることから、InfiniBandでの効果を最大化できるという。
HP-UXやAIXからの乗り換えを狙う

いいとこ取りをしているSPARC SuperClusterだが、この製品がExadataやExalogic、そしてExalyticsと違うことが分かるだろうか? つまり、ExaシリーズやDatabase Appliance、Big Data Applianceが特定の目的のために最適化して開発されたことを考えると、SPARC SuperClusterは、SPARC/Solarisがベースとなる、言ってしまえばUNIXサーバと表現することができる(もちろんSPARC SuperClusterはOracle/SunでEngineered Systemで開発された製品だ)。
この違いについてOracleでは「ExaシリーズはOracleソフトウェアの専用機であり、SPARC SuperClusterはSolarisアプリケーションの“汎用機”」という言葉で説明する。
ExadataやExalogic、Exalyticsは、データベースなりアプリケーションなりの特定の目的のためのアプライアンスであることから、ユーザー企業にとっても導入以後のメリットが理解しやすい。現にExadataの急速とも言える導入状況は、そのことを反映しているとも言える。
その視点で考えると、SPARC SuperClusterの位置付けはユーザー企業になかなか理解しづらいのではないだろうか? 前出のSigler氏がZDNet Japanの取材に対してこう語る。