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クラウド普及でもIT部門の役割は不変、むしろ広がる--ガートナーの長谷島VP

怒賀新也 (編集部)

2012-04-02 10:00

 ガートナー ジャパンは3月9日、アステラス製薬の元コーポレートIT部長、重富俊二氏と並び、元ソニー業務執行役員で最高情報責任者(CIO)を務めた長谷島眞時氏を、エグゼクティブ プログラム(EXP)部門のグループバイスプレジデント兼エグゼクティブ パートナーとして迎えたと発表した。顧問としてCIOにアドバイスする役割だ。

 長谷島氏は、1996年にVAIOビジネス立ち上げ時の情報システムを担当するなど一貫して社内IT構築に携わってきた。04年にCIOに就任した当時、IT部門は納期遅延やコスト高などで社内から信頼を失っていたという。そこで「IS Reborn」と呼ぶ取り組みで現場の意見を取り込んだ結果、「個別最適」「実行力」「ガバナンス」の3つのテーマにたどり着く。そこからIT部門を活性化させた。

 現在、クラウドコンピューティングの進展やインフラの仮想化などの技術面の変化により、企業のIT環境は大きな変化を迎えつつある。変化の早いビジネス側の要件も取り込みながらシステムを構築、運用する環境で、CIOは難しい舵取りが迫られている。長谷島氏に、今後のIT部門が向かうべき方向について話してもらった。

自分たちの有り様をいたずらに否定してはいけない

「出井さんの時代に“ネットワーク時代”ということでインフラをつくった」話す長谷島氏
「出井さんの時代に“ネットワーク時代”ということでインフラをつくった」と話す長谷島氏

 私は、クラウドコンピューティングの普及などにより、企業の情報システムの構築方法が大きく変わりつつあると考えている。従来は、IT部門がユーザーと対話して仕様書を決め、アプリケーションなどのシステムを構築するというプロセスが役割の大きな領域を占めていた。だが、現在はそのソリューションそのものをアウトソースできるようになった。この点が最も違う点だ。

 だが、私はIT部門の役割は変わらないと思っている。つくるにせよ、購入するにせよ、役割の本質は、ビジネスに役立つものを選ぶことにあるからだ。もちろん、つくると購入するという前提の違いにより、IT部門担当者に必要とされるスキルセットは違ってくるものの、本質的には変わらないといえる。いたずらに自分たちの有り様を否定してもしかたがない。

 IT部門の役割は今後、従来のものを抱えながらさらに拡張していくと考えている。IT部門のミッションは刻々と変化する。役割にあまり変化のない人事部や経理部とは決定的に違う点だ。

 例えば、ビジネスプロセスにIT部門がどこまで取り込むのかは論点の1つだ。収益を確保するためのビジネスモデルがあり、それをITを活用したビジネスプロセスが支える--このとき、ビジネスモデルをつくる担当者が、IT活用を前提にしたビジネスプロセスまで、果たして描けるのか。今後、ITにかかわる世界がさらに増え、それを吸収する存在としてIT部門が重要な役割を担うのは明らかだ。

 そうした環境の中、社内の人材だけでシステム企画から開発、保守、運用までやるというのは現実的ではない。社内に蓄積すべきノウハウ、資産は何かということを見極めた上で、外に出すものと社内に残すものを戦略的に決めて、外部リソースの活用方針を決める必要がある。

 CIOを担当していた当時、本来は社内でやるべきことを外部のコンサルタントに依存し過ぎていたと思うこともあったので、重要なメソドロジー(方法論)やEAは常に社内人材で責任をもって検討、構築してきた。

 本来、「自らがマネジメントできるものだけをアウトソースする」というのが基本だと考えつつも、ビジネス環境もITも大きく変化する今の時代、経験のないこともアウトソースせざるを得ないことも当然出てくると思う。ただし「出し方」には配慮が必要だ。BPRにせよプロジェクトマネジメントにせよ、きちんと理解しないまま、コントロールできないものを安易に外に出すと失敗するリスクが高くなると言うことも肝に銘じるべきである。

 一方でIT/IS戦略の立案においては評価検討すべきテーマが多岐に渡り、かつ変化も激しいので、主体性を維持しつつ、経験・知識を社内だけでなく、もっと積極的に外の力をうまく利用するという選択をしてもいい次期にきていると思う。

 例えば、Gartnerは、世界にある同業他社の成功・失敗事例と要因を分析したナレッジを蓄積している。そのナレッジをもし持たないならば、Gartnerのような会社を利用する価値はある。私がGartnerに移ったのは、そうした企業を支援したいと思ったからだ。いろいろな変化にさらされ、マネジメントが難しいIT部門を切り盛りするCIOと一緒に考え、悩みたい。

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