4月に入り、初日となった2日には多くの会社が新入社員を迎えた。社長が新入社員に向けて発したメッセージに共通しているのは、グローバル化する事業環境への対応だ。社長訓示からは各社の方向性が見えてくる。ここでは、富士通、NEC、日本IBM、シャープの各社長、さらに、金融面から日本の産業を支える日銀総裁の訓示を紹介する。
富士通 山本正已社長
富士通は、創業以来76年にわたってICTで社会を支えている会社だ。今後、SNSやスマートフォンの普及により増え続けるデータを、圧倒的に高速に処理できるインフラが必要になる。セキュリティやエネルギー効率も、新たな次元で実現していかなくてはならず、たくさんの技術的なブレークスルーが必要になる。
富士通 山本正已社長
富士通は、その最前線でイノベーションに取り組んでいる。一例が、世界一高性能なスーパーコンピュータ、理化学研究所の「京」だ。富士通が、CPUからソフトまですべての開発を手掛けた。電力不足が課題となっているが、ICTを使って上手にエネルギーを管理していく取り組みも始まっている。東南アジアや中東の都市での環境に優しい豊かなまちづくりや、みかんや野菜作付け、在宅医療をクラウドで支える取り組みにも着手している。
課題もある。もっとグローバル化を進め、世界に通用する価値を提供できなければ、海外はおろか日本での存在感も守れない。組織改革などに取り組んでいるが、最終的には、各社員の意識が変わっていく必要がある。皆さんも、心の中に国境を作らず、常に高い視点で、チャレンジしてほしい。東日本大震災からの復興はこれからが正念場だ。復興に向けて、ICTとしてどのように貢献できるか、当社でも真剣に考えて取り組んでいる。皆さんは「復興1年生」。大きな夢をもって、ともに未来を切り拓いていただきたい。