Heydari また、上層部の幹部たちが統合に対して毎日のように積極的に関与したこと、上層部に限らずオペレーション全体でも積極的に関与したことで、今後の方向性が明確に示された点が見逃せません。これが統合を成功させることにつながったといえます。
Oracleには、上から方向性が示されれば、それに向かって全員がベクトルをあわせて仕事を遂行する姿勢ができあがっていました。Sunとの統合においても、すべての社員が200%の力を注ぎ込んだと言えます。
さらにOracleは2010年7月に、SPARCおよびSolarisに関して5年間に渡るロードマップを策定し、これを広く公開しています。このやり方は業界内でも大変ユニークなものです。
そのロードマップに対して、我々は着実に遂行し、一部にはスケジュールよりも速くリリースできたものもありますし、当初計画よりも高い性能のものをリリースできたものもあります。お客様との約束を守りながら、進化を遂げているわけです。
「ソフトウェア・イン・シリコン」が今後実現
――実際、2011年10月に発表したT4プロセッサは、計画よりも前倒しで投入されましたし、そこで発表された性能も当初の予定よりも高いものでした。Heydari SPARC T4プロセッサのシングルスレッド性能は、SPARC T3プロセッサの5倍以上に達し、SPARCプロセッサの歴史において、最も高いパフォーマンス向上を記録しています。当然のことですが、マイクロプロセッサの開発は一夜でできるものではありませんし、T4プロセッサについても、その種作りはSunの時代から行っていたものです。
では、何が今と異なるのか。Sunでは時間が経つにつれて、私たちが行いたいことに対する投資や、スケジュール通りに投入するための投資が削減されていったのに対して、Oracleに統合された今では、計画が承認されれば、それに対してリソースが与えられ、計画通りに製品をデリバリすることができるようになっている。人も採用していますし、必要な投資も行っている。計画通り実行することができる。
実は、開発というのは決して難しいものではありません。開発するものが明確であり、それに対して適切なリソースが与えられていれば、期待通りの結果が得られる。今回は、それが時期の前倒し、高性能化という良い形につながったわけです。もちろん、これには少しの「運」も必要ですけどね(笑)。
――なぜOracleは、SPARCおよびSolarisに対する投資に、ここまでコミットしているのでしょう。その理由はどこにありますか。Heydari Oracleは、Sun Microsystemsを統合して以降、スタック全体での革新が可能になりました。つまり、一番底辺にあるマイクロプロセッサの革新から、システムの仮想化、OSおよびデータベース、ミドルウェア、アプリケーションに渡って革新を提案でき、単一のビューとして提供できるようになった。これは、これまでのIT産業の方向性とは大きく異なるものです。
これまでのIT産業の進化において、お客様は、異なるベンダーから、サーバ、ストレージ、仮想化などの技術を別々に購入し、自分たちで構築しなくてはならない状況にあった。これにより複雑なスタックとなり、その複雑なスタックに対する運用、保守にリソースを費やすことになっていました。