IDC Japanは4月11日、クライアント仮想化ソフトウェアカテゴリ別投資対効果(ROI)の分析結果を発表した。クライアント仮想化製品の平均ROIは325.2%、投資の回収期間は13.3カ月という。クライアント仮想化製品を使用することで、投資に対して3年間で3倍以上の効果が得られ、約1年1カ月で投資コストを回収できることを意味している。
1人あたりの初期投資額は25万7837円、効果は67万6870円という。エンドユーザーがクライアント仮想化を使用する時間の割合は、1日8時間勤務と想定すると52.0%、4時間以上に達する結果としている。
クライアント仮想化製品を導入して、エンドユーザー、ITの管理者やスタッフ、企業全体の改善率の平均値はそれぞれ26.8%、28.5%、19.3%という。例えばエンドユーザーで平均して26.8%のROIが得られたということを意味している。この調査結果から、クライアント仮想化がROIの高い戦略的製品とコメントしている。調査では、カテゴリの全区分でROIが高いとしている。
カテゴリ別に見ると、「XenApp」や「RDS」などのプレゼンテーション仮想化が378.5%とROIが最も高い。「ThinApp」や「App-V」などのアプリケーション仮想化は376.3%と次いで高い。
シトリックス製品などのイメージストリーミングが323.6%、ヒューレット・パッカードや日立製作所などのブレードPCは339.9%、そのほかのクライアント仮想化は327.8%、「VMware View」や「XenDesktop」、「VirtualPCCenter」などのデスクトップ仮想化は315.2%とカテゴリ別では最も低い結果になっている。
これらの結果については、クライアント仮想化の複数カテゴリの製品を併用しているユーザー企業が多いことから、その併用割合を加味した上でユーザー企業ごとにROIを検証する必要があるとしている。
IDC Japanの渋谷寛氏(PC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケット)は「クライアント仮想化導入ではROIが重要な指標になる。ユーザー企業でのクライアント仮想化のオンプレミス型とサービス型に対する適合性を見極め、エンドユーザーの環境をトップダウンで整備していくことが求められている」とコメントする。
その上で渋谷氏は「IT管理者やCIOに加え、CEOなどの経営層を動かすことが重要。ユーザー企業やパートナー企業とともに、主にエンドユーザー環境に対するROIを測定し提案すること、それを経営層と共有することで、クライアント仮想化の役割と重要度が明らかになる」と説明している。