Javaテクノロジに関するカンファレンス、「JavaOne 2012 Tokyo」が4月4および5日に開催された。旧Sun Microsystemsを買収したOracleの日本法人である日本オラクルによりOracle Open World Tokyo 2012と併催する形となった。日本でのJavaOne開催は実に7年ぶり。ここで筆者が目にしたものは「Javaの進化が再び始まり、継続中である」というOracleからのメッセージだった。
Javaテクノロジの進化は、一時期は「停滞していた」と言わざるを得ない状況にあった。象徴的なのは、JavaテクノロジのコアであるJava SEのバージョンが5年近くも更新されなかったことだ。Java SE6が2006年12月にリリースされてから、次のバージョンであるJava SE7が2011年7月にリリースされるまで、実に4年7カ月が経過している。その間にITの世界では、クラウドが一大潮流となり、iPhoneやAndroidといったスマートデバイスが爆発的に普及したのだが、その間Javaテクノロジの進化は停滞していたのだ。
だが、Oracleによる旧Sun Microsystemsの買収を経て、Javaテクノロジは再び進化を始めた。今後は、JavaのコアといえるJava SEは2年に1度のペースで新バージョンを出す。今後は、クラウドへの対応(Java EE7のクラウド対応機能)、マルチコアプロセッサやビッグデータへの対応を視野に入れた並列処理への対応(Fork/Join Framework)、並列処理に適した関数型言語機能の取り入れ(Project Lambda)、そしてクロスプラットフォームUIフレームワークJavaFXによるスマートデバイスへの対応、HTML5に対応したプログラミングモデル(Project Avatar)など、現代的な課題に対応した機能を取り入れていく計画だ。
特に、エンタープライズユーザーから見て大きな変化は、まずクラウド機能、次にクロスプラットフォームの新たなUIフレームワークだろう。
クラウド対応を実現するのは、エンタープライズ版のJavaテクノロジであるJava EE7が標準機能として提供するPaaS機能である。これが実現すれば、Javaベースのアプリケーションサーバがそのままクラウドインフラとなる。Oracleは、Java EEの機能を利用できるパブリッククラウドの運用を開始しているが、このようなJava EEベースのクラウドサービスが複数登場することも十分に考えられる。
また、Java EEベースのプライベートクラウドを構築することも今よりずっと容易になるだろう。Java EE7の最初の実装は2013年に「GlassFish4」として登場する予定だ。